『ゴッドハンド(神の手)』とよばれる脳神経外科のスーパードクター・今平卓(長谷川初範)が京都市内の自宅で、何者かに射殺された。臨場した京都府捜査一課警特別捜査対策室の刑事・糸村聡(上川隆也)はリビングの本棚で、アンティーク調の木箱に入れられた白い毛の束を発見した。科捜研研究員・村木繁(甲本雅裕)に鑑定を依頼したところ、芦毛の馬の毛だと判明。ほかの刑事たちは事件とは無関係だと気にもしないが、事件現場の遺留品にこだわる糸村は「なぜ馬の毛を保管していたのでしょう?」と疑問を抱く。
過去の医療ミスが絡む?浮かび上がるスーパードクターと芸妓の因縁
今平を東京の大病院から引き抜いた病院長・曽根崎光成(春海四方)によると、事件前日、今平の娘で医療ジャーナリスト・志摩子(松永渚)が東京からやって来て、今平に「しばらく泊めてくれ」と頼んでいたという。ところが、現場に志摩子の姿はなく、連絡も取れなくなっていた。
ほどなく、今平が京野菜を使った菓子作り教室に通っていたことが分かった。糸村はそこで講師の木戸凪子(河井青葉)から、京都に5つある花街のうち最古の花街・上七軒に今平行きつけの老舗の茶屋があったと聞かされた。
その茶屋に事情聴取に赴くと、三味線と唄を担当する地方(じかた)の芸妓・中間望美(武田梨奈)が、今平と曽根崎が言い争っているのを目撃したと明かす。中間と今平には過去に因縁があり、そのため、ある意図を持って糸村に接近してきたのだった。捜査が進むにつれ、今回の殺人事件には今平が過去に犯した医療ミスが絡んでいるとの見方が浮上する。「カネをもらって患者を殺した」という証言も飛び出した。
《神の手を持つスーパードクター》《芦毛の馬の毛》《京野菜のスイーツ》《花街の芸妓》......糸村は、馬を飼っている牧場に出かけて乗馬をするなどマイペースの捜査を続けた結果、バラバラだったこれらのキーワードを結びつけ、ついに事件の真相解明に成功した。そして、「3分でいいんです。僕に時間をもらえませんか?」と、事件の奥底に秘められた切なく悲しい真実を語り始める。(よる9時放送)
寒山