秋田県の田畑に囲まれた1本道の左カーブで、対向車の8トントラックが内側に切れ込んで中央付近にはみ出し、衝突してくる様子が乗用車のドライブレコーダーに記録されていた。運転していたのは通勤途中の女性で、車は右前方が大破。女性は肩や腰の痛みが1カ月ほど引かなかったという。車の修理費用は60万円。
しかし、トラック運転手側の保険会社は、ぶつけられた側にも過失があると主張した。「対向車としてカーブを曲がってくる車両を確認した場合、道路中央を越えてくることが想定できる。その場合は警笛を鳴らす、左に寄る、停止するなどの対処が必要」と言い、過失割合9対1を提示した。
ドライブレコーダーの音声では、トラック運転手は「ミラーで死角に入り見えなかったの。ごめんなさいね」とミスを認めている。また、女性はぶつかる直前に田んぼすれすれまで左に寄り、急ブレーキをかけ、ぶつかる直前に停止させていた。女性の夫は「これ以上、事故を防ぐ方法はなかったと思う。過失割合が10対0にならないと納得できない」としている。しかし、高山俊吉弁護士は「動いている車同士の事故の場合、過失割合9対1はおかしくない」と言う。
谷清司弁護士は「ドライブレコーダーを見ると、被害者が事故を回避できない状況です。裁判で過失割合をゼロにすることは可能」と言うが、裁判になれば、最低でも20万円以上の弁護士費用がかかり、車の修理費より高額になる。
証拠映像あるのだから事故原因は一目瞭然のはず
同様の被害にあい、交渉の末に過失割合ゼロを勝ち取った吉永みち子(作家)は、「9対1ですという言われ方をして、私は納得できませんでした。なぜそんなことになったのかというと、当時はドライブレコーダーがなかったから。今はあるので、検証すればゼロになる場合があってもいい。考え直すべきですよ」と主張する。
長嶋一茂(スポーツプロデューサー)「この運転者は、ドライブレコーダーをつけていてよかったですね。ドライブレコーダーがある場合はそれをベースにすべき。法律がまだ追いついていない」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「弁護士特約には入っていたほうがいいですね。9対1だと、トラック側の修理費も1割持たなければいけなくなるし、保険の等級も3段階下がる。踏んだり蹴ったりですよ」
自動車保険では年額1000~2000円の特約で、弁護士費用が補償される。