ALS患者嘱託殺人、「オレはドクター・キリコになりたい」「安楽死始めました。いくらなら払う?」と語っていた医師の死生観

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   全身の筋肉が衰える難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者に薬物を投与し殺害したとして医師2人が嘱託殺人容疑で逮捕された事件。亡くなった林優里さん(享年51)とSNSでやりとりしていた宮城県仙台市の医師・大久保愉一(よしかず)容疑者(42)のブログからは、独特の死生観が見えてくる。

   「高齢者を『枯らす』技術」というタイトルのブログには「私個人としては神経難病などで『日々生きていることすら苦痛だ』という方には一服盛るなり注射一発してあげて楽になってもらったらいいと思っています」とつづられている。

「一服盛るなり注射一発で楽になってもらったらいい」

   さらに、「手塚治虫作品の名作『ブラック・ジャック』に出てくるキリコ先生は安楽死の名手ですが、キリコ先生はポリシーがはっきりしていて『安楽死はお手軽な自殺ではない』とのもと3原則をうたっています」などと記述していた。

   ドクター・キリコは患者から報酬をもらい、安楽死を請け負うキャラクターだが、大久保容疑者は2013年にもツイッターで「やっぱりオレはドクター・キリコになりたい。というか世の中のニーズってそっちなんじゃないのかなあ」とツイートしている。今年(2020年)4月には「安楽死始めました(時価)いくらなら払う?」というツイートもしている。

   SNSを通して林さんから安楽死の相談を受けていた大久保容疑者。昨年(2019年)8月には、林さんのもとに定期的に訪問介護が来ることや、自分では動けないことなどを「悪条件」として挙げ、「コナンや金田一どころではない計画が必要」とツイートしている。そして昨年11月、2人の医師は知人を装って家に入り、薬物を林さんの胃ろうから投与した。

   橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「安楽死や尊厳死は人間の永遠の課題だと思う。でも、(大久保容疑者は)主治医ではなく林さんの事を良く知らないのに、訪ねてからわずか10分で犯行にいたっている。すごく短絡的な感じがします。それからお金も絡んでいます。ブログの文句を見ても、心底苦悩している姿が見えないのが残念です」

文   ピノコ| 似顔絵 池田マコト
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