綾野剛と星野源ダブル主演のTBS系刑事ドラマ「MIU404」(ミュウ・ヨンマルヨン)第5話が24日(2020年7月)放送された。
しかし、外国人労働者の問題をシリアスに扱った物語に、ネット上では「使い捨てにされる外国人の悲惨な実態に考えさせられた」という称賛の声と、「社会派を気取って白ける。エンターテイメントに徹してほしい」という賛否両論が起こっている。
ゴミ山の「夢の島」ジャパンドリームはウソです
物語は、日本人店員のコンビニを狙う外国人によるとみられる強盗事件が続発。伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)がコンビニ店員に扮して張り込んでいた店も襲われ、2人は犯人を捕まえる。しかし、伊吹らに仕事を教えたベトナム人留学生マイ(フォンチー)が働く別の店では、犯人を取り逃していた。桔梗ゆづる(麻生久美子)は留学生が共犯者の可能性があるとみて、伊吹と志摩に捜査をさせる。
その後、多くの店を強盗犯が一斉に襲撃し、次々と確保される。犯人は外国人で、大半が低賃金で働かされている元技能実習生だった。伊吹と志摩は、捜査の過程で、マイが通う日本語学校の事務員、水森祥二朗(渡辺大知)が怪しいとにらむが......という展開だった
ネット上では、悲惨な外国人労働者の問題に真っ向から切り込んだ、と評価する声が多かった。
「タイトルの夢の島。かつてゴミの埋め立てに使われていた島の名前。貧しい国の若者が、技術を身につけ、豊かに暮らしたいと夢を抱いてやって来た日本。でも実態は、技能実習生と言う名の出稼ぎ労働者。低賃金できつい労働をさせられ、辛さに逃げ出す人がいれば、また替わりを連れて来る。使い捨てのロボット。理不尽な社会に怒りながら、自分も搾取する側だと気づいた水森は、その重さに堪えられなかった。『日本になんか来るな』と言う叫びは、何も出来ない自分への怒りでもあるだろう」
「リアルに迫る。弊社も技能実習生としてベトナムから数名招いているけど、やはり国内採用より安いです。とはいえ、食事代、住居費、光熱費は会社持ちです。でも、この不況で仕事がなく、来年からの受け入れはやめるかもしれない。これからもっと海外からの労働者は厳しい環境に置かれそうな気がして、胸が苦しくなる話でした。正規雇用枠がどんどん厳しくなるのに、気軽に受け入れする政府。ジャパンドリームは本当に嘘ですよ」
アジサイとカタツムリ...水森とマイの運命に涙が出た
「若い頃は、こんな理不尽に心を痛めました。でも、散々人道的に怒ったり同情したり寄り添ったりした上で、この年になって思うのは、やっぱり弱いと引っ張られてこの職員みたいに負けるだろうなって事。矛盾も理不尽も受け入れ許して生きていく。正義を胸に戦う時期もあるけど、戦えば戦うほど、自分の無力を思い知り、この世の無常を受け入れていくのかも知れません。そんなことを思いつつも、この国に来るなーって絶叫したシーンは涙が出ちゃいました」
「アジサイとカタツムリ。水森とマイの回想(デート)のシーンで出ていた紫陽花の花言葉は厳しいものが多く、男女のロマンスを演出するのにそぐわないアイテム。そこを敢えて使っている所に映像表現の深さや切なさを感じた。ベトナムでは、どうなのだろうか。水森の二回目の強盗の逃走シーン。回想シーンを思い浮かべながら足掻く姿が、それを象徴しているみたいで、見ていて辛かった」
「無関心という名の罪。お恥ずかしながらMIU404を観るまで、外国人労働者について、関心もなければ実態を知ろうともしなかった。日本が世界で4番目に外国人を受け入れている国であること、コンビニで働いているのは日本語が出来るエリートで、多くは人目につかないところで酷使されていること...それらは朝5時に店頭にお弁当を並べるためだと。謎のYouTuberがテレビ局に企画を持ちかけても『外国人問題って視聴率とれないんだよね』とにべもなく断られる。そんな問題に正面から斬り込んだ野木さん。刑事ドラマという形をとって、社会に横たわる病巣をえぐり出してみせる。今回も考えさせられる内容だった」
マイがキャンキャンうるさくて同情がわかなかった
一方で、「社会派」の重たすぎるテーマは期待していないという冷めた批判の声もあった。「退屈だった。マイ役の人が生理的に受け付けなかった。キャンキャンうるさすぎて、鼻につく身勝手さがあり、素直に同情できなかった。私も日本になんか来るなって思うし、来てもらいたくもない。別に朝5時に弁当が並ばなくてもいいし、24時間店が開いている必要もないと、コロナ禍でわかった。実際、外国人の犯罪が増えているし、私はこのドラマで同情する側には立てなかった」
「外国人労働者問題と水森が強盗することになんの論理的なつながりもない。強盗したお金を外国人労働者に配っていたわけでもないし。店員が日本人のところだけ襲うのは外国人に同情しているから?店員が外国人のところもオーナーは日本人だろう。オーナー店長も長時間労働でカツカツのところも多い。搾取して儲けているのはむしろコンビニの本社だ。テーマが社会派を気取っているけれど論理がめちゃくちゃ」
「今までで一番つまらなかった。他局ドラマの『相棒』もそうだけど、外国人労働者とかがからむとシラける。ハナシはもっとシンプルなのが好みだ。〇〇作品とか、〇〇ワールドなんて言われる、売れっ子脚本家さん特有のギミック(仕掛け)まみれの作品は、鼻につくので見ていて疲れます。でも、まあそれなりにまとめているので、こういう社会派が好きな人は絶賛でしょうね」
「相棒殺し」志摩を、人を信じすぎる伊吹がどう救うのか
それより、そろそろ主人公たちの謎の追求に注力してほしいという声が多かった。
「他人も自分も信じない『相棒殺し』志摩を、人を信じすぎる伊吹がどう救ってくれるのか、とても楽しみだ。予告で見ると、予告に村上虹郎くんが出てきて叫びそうになった。期待していますよ」
「エンディングに向かっている最後の10分くらいで急にアクセル踏み込まれた感じで...。志摩のあの顔、あの目、ゾクッ鳥肌立たせておいてエレベーターの扉が閉じた。謎のユーチューバー宛の、成川君の『助けてメール』もゾワっとした。この気持ちのまま1週間待つのがつらい」
「なんて、豪華キャスト!再び登場の成川君、たぶん謎の男・菅田君も絡んでくる。そして、志摩の相棒殺しの真相も明かされる?志摩の師匠役の小日向文世さんもたった1話だけの絡みじゃないだろう。ますます楽しみ」(テレビウォッチ編集部)