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『テラハ』木村花の法名は「紫月陽花信女」。アジサイが好きだった

   さて、文春が追及しているフジテレビの『テラスハウス』やらせ事件だが、今回は、番組のスタッフからも証言が取れた。その人間がこういう。

   「問題は悪質な"やらせ"が横行する撮影現場で出演者の人権がないがしろにされていたことです。花ちゃんが過呼吸になった悲惨な光景が今でも目に焼き付いて離れません。どうしてあの時カメラを止めなかったのか......」

   自殺した木村花の49日法要が7月10日、都内の霊園でひっそりと行われた。法名は「紫月陽花信女」。アジサイが好きだったという。過呼吸になった花が階段を降りたところで倒れ込んだ。現場は騒然となったが、撮影は再開されたとスタッフは話している。

   この番組は、男女6人の共同生活をただただ記録したものだったはずだ。チーフプロデューサーの松本彩夏もウエブ媒体の取材に対して、「こちらの主観がなるべく入らないように、カメラをできるだけ動かさないようにしています」と答えている。だが、カメラは常に修羅場を抑えようと動き回っていたのだ。SNSで炎上してナンボ。それが現場の実態だったようだ。花の母親は、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会に申し立てるという。

   やらせといえば、週刊女性が、フジテレビの日曜日にやる『ザ・ノンフィクション』でもヤラセがあったと告発している。私はこの番組が好きで、録画して見ている。この中に、「マキさんの老後」という人気シリーズがあった。ジョンはレズビアンで、マキはゲイの「老年」ではない中年カップルだ。

   何回か見たが、暗くて陰鬱になるので、そのうち見なくなった。マキが、「とにかく"ケンカしてください"と言われるんです。ケンカするまで帰ってくれないから早く帰ってほしくてケンカをしていましたね」。マキは、生活費として10万円入れているのに、「たった2万円しか生活費を入れずに威張っているオカマとして放送されたんです」。

   究極のやらせはこんな具合だ。

   「年越しのシーンで言い合いになった際に、私がワインボトルを割ったように演出されました。ガチャーンという効果音がはめ込まれていたんです。もちろん私はボトルを割っていません!」(マキ)

   こんな番組がノンフィクションであってたまるか。私が知っているだけでも、いくつものやらせがあったように思えるシーンがあった。ときには面白いものもあるだけに残念だが、フジはきっちり調べて、番組内で謝罪をすべきである。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)、『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)、『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、 『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)、『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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