東京・新宿で発生した新型コロナウイルスの「舞台クラスタ―」に、キャスターの立川志らくは怒り心頭だ。「いくらなんでも、主催者の対策がなってない。あれで、舞台を見に行くのはよそう、という人が出てきますよ。何千、何万の演劇人に迷惑をかけた。とんでもないことです」と語気鋭く語る。
感染対策はしていたというが
「新宿シアター・モリエール」で、先月30日(2020年6月)から今月5日まで「THE★JINRO イケメン人狼アイドルは誰だ!!」が上演され、出演者、スタッフ、観客37人に新型コロナの感染が確認され、保健所は約850人を濃厚接触者と認定した。これまでで最大規模だ。
主催者は「サーモグラフィーで検温し、消毒・マスクなど徹底した」というが、芝居を見に行った40代女性は、「入り口でスタッフに手に吹きかけられた消毒液は少ないなあと感じたし、座席は椅子の間にカバンを置けるかなという(近さを)感じました」と話す。最前列の客にはフェイスシールドが配られたが、つけている人はいなかったという。
出待ちの楽屋ではファンとのハグや握手が交わされ、体調不良を訴えていた出演者もいたが、そのまま強行された。
自分も劇団を主宰している志らくは、ここで芝居をかけたことがあるという。「『談志のおもちゃ箱』『あ・うん』の2回、演出・出演しました。大好きな劇場だけど、186席を100席に減らしても、半分も入ればいっぱいという狭さですよ。とにかく、楽屋も狭くて、山田洋次監督が楽屋を訪ねてくれたことがあったんだけど、(気が付かないで)『楽屋どこ?』って聞かれたぐらいだもの。4、5人の芝居ならまだしも、(舞台にも客席にもあんなに人がいたら)1人感染者がいたらみんなうつっちゃうよ」
どのくらいの「密」だったのか。座席の前後の間隔は40センチ、左右は30センチ、最前列と舞台の間は1メートルしかなかったという。作家・演出家の鴻上尚史は「1メートルは消防法で決められている間隔で、韓国などは3メートルは空けていますね。状況を正確に知りたい。どのくらいがハグしたのか、握手したのか、客席の一番後ろにいた人は感染したのかなど、具体的なことですね」
志らくは「そもそも、あんな小さなところでやるべきじゃなかった」と、最後まで怒りは収まらなかった。
カズキ