きのう9日(2020年7月)、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多の224人になったが、安倍晋三首相は「医療提供体制は逼迫した状況ではない」と断言し、菅義偉官房長官も「直ちに緊急事態宣言を出す状況ではない」とこれまで通りの見解を繰り返した。
小池百合子知事は急きょ、新型コロナ担当の西村康稔大臣と会談したが、「有効な策を迅速に行う」「連携して実行していくことを進めていきたい」と、具体的な対策はなかった。きょう10日からの5000人規模のイベント解禁も、予定通り行われることになった。
夜の街より家庭や職場で拡大
緊急事態宣言解除後、日々増え続ける患者数について、小池知事は「検査数が増えているから」「大半は"夜の街"関連」「医療体制は逼迫していない」として、緊急事態宣言前の4月とは状況が異なると強調してきたが、新規感染者224人のうち、感染経路不明者は104人と半数近くにのぼった。"夜の街"関連は3割程度の74人で、家庭や職場など、それ以外での感染も増えている。
昭和大学医学部の二木芳人・客員教授は「明らかに危険な数字です。きのうの東京都の緊急会議でも、現場の医師から『明らかに市中に広がっている』『医療体制も安心できる体制ではない。すぐにでも逼迫しそうだ』という発言がありました」と指摘した。
愛知医科大学の三鴨廣繁教授も「全く同じ見解です。検査が増えたからといいますが、陽性率も6~7%と上がってきています。市中で感染が広がりつつあります」と危機感を示す。「(病床)数はまだ余裕があるのかもしれませんが、医療現場のスタッフとしては、『また増えるのか』という心労が大きく、数字以上の逼迫感を感じています」と明かした。