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小池大勝でこれから都民に回ってくる高いツケ!でたらめ休業補償、底をついた貯金、都税収入激減

   都知事選で小池百合子が圧勝した。当選間違いないことは事前からわかっていたことだが、これほど勝たせるというのは、東京都民が何も考えていない証拠だろう。小池と対抗しうる候補がいなかったことは事実であるが、街頭にも出てこない、他の候補との討論会もほとんど拒否する、学歴詐称や過去4年間ほとんど何もやってこなかった都政を総括することもしなかったのでは、何のための都知事選だったのか。

   7月6日の朝日新聞の社説でも、<豊洲市場問題を始めとして何度か目にしてきた、聞こえのいい言葉だけで実行を伴わない政治は願い下げだ>と厳しく批判している。小池の対抗馬を出さなかった自民党にも重大な責任がある。安倍首相、二階幹事長は、この程度の首長で東京はいいと考えているのだろう。

   小池勝因の最大の理由はコロナであろう。こうした国難ともいうべき時、人間は保守的になるものだ。安倍首相は、小池大勝を見ていて、解散するならコロナが終息しないうちだと、心に刻んだはずだ。何の対策もほとんどとらないのに、欧米に比べて感染者も死亡者も圧倒的に少ない。千載一遇のチャンスだと考えているはずだ。解散・総選挙に打って出て、もし勝ったら、多くの有権者が理解を示してくれたと開き直り、任期を延ばして「改憲」することを目論んでいるはずだ。

   今週の週刊文春、週刊新潮ともに、巻頭は小池百合子都知事批判である。4月に小池は休業要請に協力する中小事業者に、50万円から100万円の協力金を支給すると発表したが、「6月30日までに何としても支給を完了するように」という強い指示を出したため、時間も人員も足りず、<「結果、支払うべき方への不支給が多数起きてしまっている。逆に、払うべきではないのに支給してしまっている過支給もある」(都から委託を受けた民間の専門家)>と週刊文春は指摘している。

   なぜ、6月30日と期限を定めたのか。7月3日の都知事選投票日までに何としても「成果」を誇示したかったのであろう。先の専門家が、「これだけ不備が出てしまっては、選挙後、不支給などの再審査をやらざるを得ない」といっている。

   選挙のためだけだとはいわないが、都の貯金である財政調整基金は9500億円から500億円に激減している。今後は、新型コロナウイルスの影響で、1兆円規模で税収が落ち込むといわれる。これで第2波が来たら、小池はどうするのだろう。都政を放り出して、国政へ出戻るつもりなのかね。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)、『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)、『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、 『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)、『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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