スマートフォン料金が安くなる可能性が出てきた。菅義偉官房長官が6月30日(2020年)、「大幅に引き下げる余地がある」と発言したのだ。菅氏は一昨年にも「4割程度下げられるはず」と述べ、昨年(2019年)4月の3割値下げを実現させた経緯がある。しかし、まだ高いと、大手の寡占状況の不透明さに切り込む構えらしい。
総務省が発表した世界6都市のスマホ料金の比較(各国No.1キャリア/5GB 月額)だと、ニューヨークが6865円でいちばん高く、東京は6250円で2位。以下、ソウル3931円、デュッセルドルフ3483円、パリ1986円、ロンドン1800円だった。東京はロンドンの3倍以上だ。
東京の料金はロンドンやパリの3倍以上だ。
菅氏は一昨年8月、「料金があまりにも不透明で高すぎる」と問題を提起、大手3社の大容量プランの値下げを主導した。しかし、上の数字を見ればまだ高いことがわかる。なぜ高いのか?
ITジャーナリストの石川温さんは、「世界に比べて、圧倒的に品質が良い」という。地下鉄でもつながるし、全国くまなく使える。さらに、5Gへの設備投資などもあり、値下げは難しいのではないかという。
大手3社の寡占状態がまったく変わっていない。格安スマホのシェアは1割にとどまっている。通話回線を持つドコモのレンタル料金が高いため、格安スマホが伸びないのだ。総務省がここに切り込もうとしている。
通信回線を持たない格安スマホ会社は、大手キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)の通信回線を借りて、レンタル料を払わないといけない。日本通信(b-mobile)は、ドコモのレンタル料の値下げを総務省に申し立てていたが、総務省が6月30日、値下げを要請する裁定を出した。
高市早苗総務相は「卸料金の適正化を契機に、業者間の競争が本格化していくと考える」という。NTTドコモは「本来卸料金は自由であるべきで、具体的な協議もなされていない」と反発しているが、日本通信は、「大手キャリアの料金から4割削減した料金プランの提供が可能となる想定です」といっている。