香川県に住む高校3年生の渉さんが、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」は憲法13条の自己決定権を侵害するとして、県を提訴することを決めた。渉さんは裁判費用を集めるため、5月19日(2020年)にクラウドファンディングを開始、6月30日午後10時時点で目標額を超える501万8000円が集まったという。
条例は4月1日に施行され、18歳未満を対象に「ゲームは平日60分、休日90分までが目安」と定めていて、違反しても罰則はない。香川県議会は「本条例は子どもに対し直接の義務を課すものではなく、また何らかの行為を禁止するものではないから、そもそも子どもの自己決定権を何ら侵害しない」としている。
渉さんは、裁判の最終的な目的は「条例の廃止」と語る。何が原動力になっているのか。「ゲームが好きだから。僕にとって必要です」と話す。
法律や条例で上から決めるのおかしい
裁判の行方はどうなるのか。評論家の宮崎哲弥氏は「私はこの条例に反対ですが、違憲判決が出るかどうかと言えば、かなり難しいと思います。日本の裁判所は、そう簡単に憲法違反の判決を出さないですから。渉さんは、この裁判の過程で、いろいろな条例の制定過程や科学的根拠のあるなしが明るみになることを狙っているのではないでしょうか」と話す。
松田丈志(競泳元日本代表)「僕はいつも、将来、自分がどうなりたいかを考え、今の自分の時間をどう使うか考えてほしいということを、子どもたちへのメッセージにしています。僕は水泳が大好きで、水泳に時間を使ってきました。渉さんが好きなゲームに時間を使うのは良いが、その先に自分がどうなりたいかまで考えてほしい」
司会の加藤浩次「おっしゃる通りなんですが、僕はやりたいからゲームやってました。でも、それは意外と大事な時間でした。友達との距離とか、コミュニケーションの取り方とかが、結果として分かりました。ゲームやりすぎた時は、どこかに良心の呵責があったし、大人になっていくうちに、コントロールできるようになるんです。決めてやることが、子どもの教育に良いわけでは絶対にないですよ」