IT起業家を5回にわたって紹介するドキュメント中心の再現ドラマである。日経新聞電子版に掲載された原作を、ネットサービス「Paravi」がオリジナルドラマとして制作した。登場する本人、周囲の人のインタビューによって、成功の背景や紆余曲折が語られ、説得力が増していた。
新型コロナきっかけに新しいイノベーション
お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の藤森慎吾が日本経済新聞の記者という役どころで、一応ドラマということになっているが、藤森は進行役のような存在で、過剰に演技していないのが効果的だった。5回の放送で取り上げた成功者は、藤田晋(サイバーエージェント)、鈴木幸一(インターネット・イニシアティブ)、山田進太郎(メルカリ)、枡田淳と出澤剛(LINE)、そして最終回に孫正義(YAHOO! JAPAN)。
みんな、ずっと勝ち続けていたわけではなく、敗者復活とか、敗北を認めない限り負けはないといった精神力で勝ち残っていく。孫正義の即断即決、あまりにもスピーディな実行力はあきれるほどだが、数十年先を見つめる眼差しや「情報の産業革命」と「人々の幸せ」を考える気持ちは、一種の使命感さえ感じさせる。
新型コロナに直面している今、新しいイノベーションの萌芽が生まれつつあるのかもしれないという希望を感じさせるエンディングも良かった。(6月24日深夜0時58分放送)
かたくりこ