日本人の給料が安すぎる問題がSNSで話題となっている。きっかけは先週18日(2020年6月)に東洋経済ONLINEに掲載された「日本人の『給料安すぎ問題』の意外すぎる悪影響 『monopsony』が日本経済の歪みの根本にある」というタイトルの記事だ。
著者は元ゴールドマン・サックスのアナリストで、小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏だ。なぜ日本は給料が安すぎるのか。アトキンソン氏はとくダネの取材に応じた。
会社側が強くなりすぎ、労働者が安く買い叩かれる
アトキンソン氏は「会社側が強くなりすぎ、労働者が安く買い叩かれる『モノプソニー』(monopsony)が原因にある」と語る。日本は、国際競争力評価では世界5位だが、生産性と所得水準で見ると世界28位だという。アトキンソン氏は「労働市場の規制緩和と人口減少による需要減で、企業側がどんどん強くなった。このままだと日本は途上国に戻る」と警鐘を鳴らす。
「モノプソニー」は企業の規模縮小も招くという。労働者が買い叩かれることで、会社が資金を賃金に回さずにどんどん内部留保(企業の貯金)を増やすと、同業他社もそれに追随する。結果として規模の小さな給料の上がらない会社が多数できることになる。
規模の小さな企業が増えると、輸出シェアが下がり、最先端技術の普及も進まない。さらに買い叩かれる労働者と叩けない労働者の給料格差も拡大する。
三浦瑠麗(国際政治学者)「日本は世論として中小企業を支えようというものがある。大手の出店規制など優遇を続けた結果、生産性が低く労働者の給料が低いままの状態となっている。非正規女性が安い労働力で提供されているから人件費を減らせるが、女性が便利な調整弁として使われている限り、彼女たちは日本経済に価値を生んでくれない」
小倉智昭キャスター「高度経済成長時代は給料が倍々で増えたが、バブル崩壊やリーマンショック、震災があって企業は給料を抑えて将来に備えるようになった」
山田秀雄弁護士「日本はもともと会社と労働者が対等でない構造があった」
「労働者をクビにしやすい規制緩和が必要だ」
ではどうすればいいのか。アトキンソン氏は小規模事業者をまとめて中堅企業へと育成、経営効率と最低賃金をアップすべきだという。
第一生命経済研究所の永濱利廣氏は「労働者を解雇しやすい規制緩和が必要だ」と語る。スウェーデンのように「解雇しやすさ」と「就業支援と職業訓練の充実」をセットにして、会社を離れるのも再就職するのも簡単にすることで、給料安すぎ問題は解決できるという。
三浦瑠麗「産業には流行り廃りがあるが、落ち目になった大企業が人を解雇できないため、いい人材がほかに行けない。解雇規制は緩和したほうがいい」
文・みっちゃん