都知事選がスタートし、逼迫する都財政が争点の一つに浮上してきた。新型コロナウイルスの感染拡大防止協力金に930億円、テレワーク活用促進緊急支援金に366億円、宿泊施設・活用事業に197憶円などの出費が続き、東京都の「貯金」にあたる財政調整基金が大幅に減ってしまったのだ。この4月(2020年)までは約9000億円あったが、今年度末には約500億円になる見込みだ。
中央大学の佐々木信夫名誉教授は「まだ6月ですから、今後、ゼロになるかもしれません。500億円という金額はほぼゼロに等しい」と言う。
東京都の一般歳入は7兆3540億円で、全国で唯一の地方交付税ゼロの自治体だ。つまり、国から金をもらわずにやっている。佐々木教授は「歳入の75%は都民の税金。東京都は独立して行政ができる存在で、国に対等に要求ができる」と解説する。
コロナ後、オリ・パラ後は赤字転落?
「"貯金"ほぼ消え、税収減も・コロナ対応厳しい舵取り」という産経新聞の記事が紹介され、都の幹部は「(ステイホーム)のような形で経済を止めることは、もうできないだろう」「第2波、第3波への対応はこれまで以上に難易度が高くなる」と話しているという。
作家の吉永みち子「自主財源があるのは、安心感につながっていました。貯金がほぼゼロとなるのだから、都知事選の各候補の政策を精査して選ぶべきなんでしょうね」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「お金がないなかで、どうやって安心を提供するかを都知事選で問うてほしいですね」
佐々木教授は「都知事選は貯金がないことも争点となります。税収の半分は都民税で、残りの半分は法人のもの。景気が落ちれば法人所得も落ちます。赤字都債を発行することになるかもしれない。コロナ対策や東京五輪も大切ですが、任期は4年で五輪後もあります」と訴えた。