新型コロナのワクチン開発をめぐり世界で活発な競争が行われているが、安倍晋三首相は、「すごく早ければ年末(2020年)には接種できるようになるかもしれない。完成した暁にはしっかり日本も確保できるよう米英の製薬会社と交渉している」と14日(2020年6月)のインターネット番組で述べた。果たしてうまくいくのか。
ワクチン実用化のステップは、動物実験の第1段階未満から第1、第2、第3段階まであり、第1段階未満は日本を含め世界で125団体が参加している。第2段階には米、英、中国の3団体、最終の第3段階にはまだどこも入っていない。
どこの国で開発されても入手できるよう分散投資
米国はワープスピード(物凄い速さ)作戦で1兆700億円を拠出している。中国は15兆円の特別国債を発行しカナダと共同で計画しているといわれている。
日本の開発予算は第1次、第2次補正予算で2371億円だ。日本でワクチンを開発しているのはアンジェス、塩野義製薬、IDファーマ、KMバイオロジクス、第一三共など。この中で実現化に近づいているのがアンジェスで、動物実験で確認し最短で7月から臨床試験開始の意向という。
ニッセイ基礎研究所の篠原拓也主席研究員は「海外に比べ国内への開発予算が少ないのは、国内のワクチン開発がうまくいかなかったときのことを考えて、海外にも分散投資しているから。どこの国で開発されても日本がワクチンを入手できるようにする狙い」と語る。
白鴎大学の岡田晴恵教授は「ワクチンは国防ですから、世界の大流行なのにこの程度でいいのかと思います。ワクチンがうまくいかなかったときを考え、治療薬とのバランスも考えてほしいですね」
青木理(ジャーナリスト)「ワクチンは待ち遠しいですが、危険性があった場合、世界的にとてつもない被害が起きます。十分な検査が必要ですね」
菅野朋子(弁護士)「ワクチンはまずは自分の国のことですよね。海外に頼るのはクエスチョンマークがつきますね」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「ワクチンは使ってみれば、わからない部分が大きいので、来年初め頃にも出来るという甘い期待をしない方がいいと思います。副作用などが出たりすれば、他のものに対する悪い影響が起きます。相当慎重にした方がいいと思います」