横溝正史原作のホラーミステリー。主人公の探偵・由利麟太郎は、ボサボサ頭で泥臭い金田一耕助と違い、ロングコートを颯爽と着こなし、スタイリッシュ。
警視庁捜査一課長だった由利麟太郎(吉川晃司)は、ある事件をきっかけに退職し、学生時代を過ごした京都で犯罪心理学者として活躍。その傍ら、大学時代の弓道部仲間の京都府警警部・等々力(田辺誠一)の依頼を受け、ミステリー作家志望の三津木俊助(志尊淳)を助手に、事件の捜査を手伝う。
解決する手法はネイティブアメリカンの追跡技術だ
由利が殺人事件を解決する手法は「現場をひたすら観察すること」。それは、由梨が若いころに旅したロッキー山脈のハンターに教えられたネイティブアメリカンの追跡技術だった。
由利のもとに、ある日「花髑髏」と名乗る謎の人物から殺人予告メールが届く。三津木を伴い、指定された山中の廃材置き場に行くと、血が滴る冷凍庫が置かれていた。蓋を開けると、両手足を縛られて猿ぐつわをされた若い女が、肩をナイフで刺されて血を流していた。彼女は、高名な遺伝子研究者・日下瑛造(中村育二)の養女・日下瑠璃子(新川優愛)だった。瑠璃子にはまだ息があった。
由利や等々力警部が日下邸に駆け付けると、瑛造の息子・瑛一(長田成哉)の部屋で、大量の血が付着したダウンコートが見つかった。さらに研究室で、日下が胸に短刀を突き立てられて死んでいた。病院で手当てを受けて戻った瑠璃子は、変わり果てた養父の姿を見て、「誰がこんなことを!」と絶句する。暎一は血の繋がらない美しい妹の瑠璃子に思いを寄せていたが、瑛造に瑠璃子との結婚を許してもらえず、家を出ていた。
瑛造の遺体の傍らには真っ赤な血にまみれた頭蓋骨が置かれ、周囲に菊の花が散らされていた。「花髑髏」が名刺代わりに置いていったものだ。誰もが、瑛造に恨みを持つ暎一が犯人ではないかと疑う中、由利はその髑髏をじっくりと観察し始める。
この髑髏は一体誰のものなのか。実はこの髑髏こそが、瑠璃子の出生の秘密を明らかにし、真犯人の正体を暴く重要なカギとなるのだった。おどろおどろしくも華麗な「横溝正史ワールド」が楽しめそうだ。(よる9時放送)
寒山