NHKの連続テレビ小説「エール」の第50回が5日(2020年6月)に放送され、妊娠していた古山音(二階堂ふみ)が古山裕一(窪田正孝)から「君の夢は僕の夢でもある」と励まされて「椿姫」の降板を決意、無事に女の赤ちゃんを出産。うれしそうな裕一とともにほほ笑むシーンで終了した。
ネット上では、「裕一、かっこいいよ!」「感動した」「号泣です」「涙腺崩壊...」という称賛の声が上がった。
「こんなに愛があふれるビンタ、初めてです」
物語は、双浦環(柴咲コウ)から、たとえおなかの子どもが死んでも舞台に立つプロとしての覚悟があるかを問われた音は思い悩む。つわりで体調がすぐれず練習に参加できない日々が続いた音はある日、いなくなる。探し回った裕一は、学校で必死に練習する音の姿を見つけ、こう声をかけた。
「君の夢を僕に預けてくれないか。僕がその夢を預かって大事に育てる。君の夢は僕の夢でもある」
ネット上では「裕一、やっと男らしくなった」「本当にすてきな夫婦」と称賛の声が相次いだ。
「協力より共感に気づいた裕一。妻が母になるから自分は父親になる。彼女の立場に最大限の配慮と同情を注いでいる。妻のジレンマには、どうするのか?出ない声で練習する音に、それを指摘して舞台を断念させる。彼女も分かっていることを敢えて口にした。頬を殴らせることは共感なのだ。『なんで、今なの?』。生まれてくる子を疎ましく感じる音の痛みでもあった。2人で夢を実現しよう。音は環先生や千鶴子の目標に一直線に集中する道とは別の回り道を選べた。物語の転換点になる回だったね」
「作曲家としての声楽家への言葉。『君は舞台に立つべきじゃない。そんな歌しか歌えないんじゃお客さんにも失礼だ』『ビシッ(ビンタ)、わかっとる!』。あんな素晴らしい、愛があるビンタシーン、初めてだ。裕一さん、微動だにしないで受けたね。裕一さん、決して弱くもなければ情けなくもない。ちゃんと言葉も用意してありました。『君の夢は僕が育てる。君の夢は僕の夢だ』。紺碧の空から今日へ。互い照らす意味が響き合って夢もまた大きくなる。それこそがこの物語の主題だ」
「たばこ屋の娘さん、ナイスアドバイスでした」
「気性の激しい音が穏やかで柔らかな音になり、普段はしどろもどろで頼りない裕一が、音を全力で支える頼もしい裕一になった。立場が逆転したな二人のギャップが良かったです」
「舞台に立つことと子供を生むことの両立の不可能をきっぱりと諭し、ふたりで夢を叶えようと泣き崩れる音ちゃんを抱きしめる裕一の優しさは、私がこれまで見たどの『愛』の映像よりも感動的でした」
「物語の大きな節目を迎えた窪田さんと二階堂さんの大熱演だった。最終選考で認められた曲を一人で歌っていた音。悲鳴にも似た苦しそうな歌声を聞きながら、合格時の音の歌う姿を重ねて見ていました。裕一のダメ出しに思わずビンタしたのも、自分を全否定されたと思ったのかもしれない。強欲に潰されそうになった音を、その苦しみから裕一が解放した。二人が同じ前を向いて、夢や未来を描く。裕一の励ましの言葉は、以前に音が裕一に出したファンレターの言葉『あなたの魂を私は歌で伝える』と同じだと思った」
そして、こんな声も。
「おでん屋の娘さん、ナイスアドバイスでした。グッジョブ!」
「それにしても赤ちゃんがいきなり『ぽん』」と生まれた。もう少し何かが欲しかった。びっくりです!」
千鶴子や環先生にもこんなエールが。
「音と千鶴子、生涯の親友になりそうです。きっと、お互いを高めあうライバルにもなるでしょうね。でも、千鶴子にはハガキでなく、鉄男のおでん屋まできて、美声で音を叱ってほしかったです。『ハンペン(半端)な気持ちで歌をやってはだめ!でも私はあなたのタコー(多幸)を願っているわ!』」
環先生が音のために用意していた花柄のドレスがさみしい
「環さんにお別れをしている時の音ちゃんの表情、なにか憑き物が落ちたような、とても優しい、柔らかな表情をしていました。音ちゃんは未来に向かい、環さんは過去を振り返る。二人の表情からはそう受け取れました。うしろのハンガーに掛けてあった花柄のドレス。環さんが音ちゃんのために用意していた舞台衣装なのだろうか。寂しそうだった」
「音のさようならの挨拶の時の環先生の表情。私は、いばらの道を選んだ、という表情でしたね。過去にきっと何かあったのでしょうね。椿姫の降板を決めた音に落胆する環先生。しかし歌手を諦めていない音に『どういうこと?』と釈然としない環先生。音の心情を聞き、(そういう選択もあったのか)と一瞬気付かされる。『また会える日を楽しみにしているわ』と送る環先生が良かった。裕一と音の周りはいい人ばかりだ。『エール』」は悪人が出てこないからいい」(テレビウォッチ編集部)