去年(2019年)1月クールに放送され、そのスペシャル第2弾だ。京都府警の警部補、時矢暦彦(沢村一樹)は容疑者を追跡中にビルから転落し、刑事になってからの記憶をすべてなくした。ただ、このことは、相棒の新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)しか知らない。
失った記憶の奥底にカギがあるはずだが...ああ、思い出せない
経済評論家の篠崎武宣が斬殺死体となって発見された。篠崎はスタンガンで気絶させられた後、日本刀のような刃物で背中からバッサリと斬られていた。遺体の口には原稿用紙の切れ端が突っ込まれ、「一件目の犯人は河上彦斎」と手書きされていた。河上彦斎は、佐久間象山らを次々に暗殺し、〝幕末の四大人斬り〟と恐れられた尊王攘夷派の志士だ。これが1件目なのなら、さらに3件の殺人事件が起きるということになる。
果たして数日後、マッチングアプリ開発者・坂出仲満が同じ手口で殺され、遺体から「二件目の犯人は岡田以蔵」と書かれた紙も見つかった。鑑識の結果、遺体の口から見つかった原稿用紙の文字はいずれも時矢の筆跡と一致した。時矢は10年前に親友の映画監督、山脇覚士に頼まれてミステリー映画のシナリオを書いたことがあり、原稿用紙はそのときの一部だった。
時矢は警察内部の査問委員会にかけられ、厳しい追及を受ける。証人として呼ばれた佐相も、耐えかねて「時矢刑事は記憶喪失なんです」と明かしてしまう。時矢の記憶喪失は、転落による外傷性ショックが直接の原因だが、ある重大な秘密を知ってしまったことによる心理的要因もあった。時矢は記憶の底深くに沈めた心の闇と闘いながら、「田中新兵衛」「中村半次郎」による第3、第4の殺人事件を防げるか。(よる9時放送)
寒山