週刊ポストでノンフィクション・ライターの石戸論が、テレビ朝日系の朝のワイドショー「モーニングショー」のレギュラーコメンテーターの玉川徹と、安倍ちゃんのお友だちでウルトラ保守派の百田尚樹から「同じ匂い」が漂うと書いている。2人の共通項は、<「誤報」すらも話題に変えていく姿勢、そして過去を引きずらずに今という瞬間を大事にする姿勢は本当に似ている>(石戸)
この2人に対して、論理的な一貫性がないという批判は全く意味がないという。<最初から、そんなものを目指していないからだ。百田も玉川も、大衆に迎合していない。「その時々の自分の気持ち、考え」を正直に発することで大きな権威と対峙する姿、空気を読まずにどんな相手にも物怖じしない「自分」を見せている。この対峙こそが、人々の心を捉えるのだ>
私は、この見方にはやや異論がある。百田などはどうでもいい。安倍が消えれば芥のような彼も忘れ去られるだろう。だが、玉川は、どんな権威にも物怖じせず対峙しているとは到底思えない。彼にあるのは、テレ朝社員という看板と、視聴率第一主義、権力が一番嫌がるところは突かないという処世術である。
彼は、テレ朝の早河洋会長が嫌がることはいわない。それは骨身にしみているのではないか。そこさえ突っつかなければ、あとは、その時々の事象を取り上げ、反対しているかのようにコメントすれば、茶の間のおばちゃんたちの受けはよくなる。
ワイドショーのコメンテーターの中で、長く続いている人間は、出演している番組の根幹に関わる悪口は絶対いわないから、出させてもらっているのだ。彼らは反体制などではない。そう見せかけることがうまいだけの、操り人形である。あまり買いかぶってはいけない。(見出し)電通「安倍総理はおいしい」新型コロナ対策ばらまきで濡れ手に粟!丸投げ・中抜きやりたい放題の国策会社
電通「安倍総理はおいしい」新型コロナ対策ばらまきは中抜き・丸投げなんでもありで濡れ手に粟
私は以前から、電通という会社を国策会社だと考えている。国策会社というのはコトバンクによると、「満州事変後、第二次大戦終了までに、国策を推進するため、政府の援助・指導によって設立された半官半民の会社」である。もっとも、電通側にいわせれば、「オレたちが国を操っている」というかもしれないが。東京五輪招致は、電通の人間がIOC理事に巨額の賄賂を渡して成功させたという疑惑が色濃くある。
自民党の選挙広報のほとんどを担っているのも、原発の安全神話を作り出したのも電通である。それに安倍首相の妻・昭恵が結婚前にいたのも電通の新聞雑誌局であった。
今さら、電通と安倍官邸、官僚たちとの"癒着構造"など珍しくもないが、今回、週刊文春が報じたのは、新型コロナウイルス不況で困っている中小、個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を、769億円で国と契約した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が幽霊法人で、97%、749億円分の事業が電通に丸投げされていたという疑惑なのである。お前たちは、コロナまで利用して金儲けしようとしているのかと非難轟々。
この協議会を運営するのは、Aという元電通社員。週刊文春によれば、この協議会は経済産業省の「おもてなし」事業を公募で落札しているが、「不可解なことに公募の開始日と団体の設立日が全く同じ日付」(代理店関係者)で、設立時に代表理事を務めていた赤池学も「経産省の方から立ち上げの時に受けてもらえないか」と打診を受けたと証言しているのだ。要は、経産省と電通との出来レースということだ。こんなことを、多くの国民が不自由な生活を強いられている時に、よくできたものだ。
当然ながら、こうしたことをやるためにはキーパーソンがいる。それは、前田泰宏中小企業庁長官だと、週刊文春は名指しする。ここは持続化給付金を所管しているし、前田の人脈の中にAもいる。Aは、「政府がコロナ収束後に向けて一兆七千億円という破格の予算を計上した需要喚起策・GoToキャンペーンの運営を取り仕切る」(電通関係者)ともいわれているそうである。
同志社大学政策学部の真山達志教授のいうように、「電通などへの委託には不透明なところがあり、さらに役所と事業者の間に個人的関係あるならば、さらなる疑惑を持たれるのは当然」である。
この疑惑についての報道も、テレビはほとんど「大手広告会社」としかいわない。この際、野党もメディアも、電通という巨大なブラックボックスをぶち壊す覚悟で、追及してもらいたいものである。電通にとって、安倍政権など吹っ飛んだって痛くも痒くもない。安倍の次の政権を同じように操ればいい、そう考えているに違いないからである。