黒人男性が白人警察官に首を押さえつけられて殺害された事件をきっかけに、アメリカ全土で抗議デモが広がっているが、アメリカ政治を専門とする上智大学の前嶋和弘教授は、「根強く残る黒人差別」と「新型コロナウイルス」という2つの背景があると説明する。
アフリカ系やヒスパニック系の人たちは、テレワークできないサービス業や肉体労働に従事していることが多く、コロナ感染での死亡者は白人の2.4倍にも上っている。「命も差別されるのか」と不満が高まっていたところに、拘束動画がSNSで拡散され一気に怒りが爆発したというのだ。
トランプ大統領は「鎮圧のためには軍の派遣も辞さない」と表明、保守系の人たちからの支持を期待している。抗議活動の中心になっている「アンティファ」は、反ファシズムや人種差別反対でゆるくつながっているグループで、過激な人たちもいれば、平和的にデモで訴えようとする人たちもいる。トランプ大統領はすべてを「テロ組織」とレッテルを貼って、抗議を軍隊で抑え込もうとしているわけだ。
ただ、「アンティファ」のふりをしたトランプ支持の白人至上主義グループが、ツイッターで暴力を扇動しているという報道もある。
騒ぎ大きくしてコロナ失政目くらまし
司会の加藤浩次「トランプ大統領は、自分の支持率を守るために、分断している方がよいと考えているように見えます。大統領選ではアメリカ国民はどういう判断をするのでしょう」
宮崎哲弥(評論家)「今回の騒動の背景はいろいろありますが、『アメリカの分断』がいちばん大きいと思います『階級』『社会』『意見』の3つの分断です。トランプ大統領が、むしろ分断をよしとしているところが最大の問題なのではないでしょうか」