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木村花の自殺―悲劇招いた責任 フジテレビにないのか?リアリティというやらせ

   ドラマといえば、Netflixが配信しているドラマがことごとく話題になっている。週刊文春には毎週、中野翠ら5人が採点する「Cinema Chart」という連載がある。今週、そこで取り上げている2本がNetflixの「ザ・ランドロマット―パナマ文書流出-」と「いつかはマイ・ベイビー」なのだ。

   それに、Netflix配信の韓流ドラマ「愛の不時着」も大きな話題で、週刊新潮が、これを見て「北朝鮮に行きたい」という日本人の女の子たちが激増していると報じている。

   第1話を見た。韓国の財閥令嬢がパラグライダーで飛行している中、暴風に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまうのだ。北朝鮮の兵士に助けられるが、北朝鮮と分かった彼女が、そこから逃げ出す。令嬢役がソン・イェジン、この後、恋に落ちるのだろう兵士にヒョンビンという、韓国を代表する役者を使っている。韓国でも大変な人気だったようだが、韓国の財閥令嬢が誤って北朝鮮に不時着するという発想が面白い。

   Netflixは、昨年は「全裸監督」「ROME」で名をはせ、今年のアカデミー賞にも多くの作品がノミネートされた。さらに、年末に解散する「嵐」の密着ドキュメントを撮影中である。私は「ブラックリスト」「Breaking Bad」にはまり、今は「マイケル・ジョーダン ラストダンス」を楽しく見ている。こういうのを見たら、日本のちゃちなお子様ドラマなど見る気にならない。

   そのNetflixで長い人気を誇るのが「TERRACE HOUSE」である。リアリティ番組というそうだが、<2012年10月12日から2014年9月29日に、フジテレビ系列の「COOL TV」枠内で放送され、その後はネットフリックスやフジテレビ・オンデマンドで配信されている日本のリアリティ番組シリーズである。通称「テラハ」>(「Wikipedia」より)

   そこに昨年9月(2019年)から出演していた美人の人気女子プロレスラー・木村花(22)が、番組の中で、同居している男性が彼女のコスチュームを洗濯&乾燥させて縮んでしまったことに腹を立て、怒声を浴びせて掴みかかったそうだ。リアリティといっても台本があるようだが、そのシーンを見たネットの民たちが、SNSで「あの口の利き方はない」「花さんのことテラスハウスファンは全員嫌い」などと、個人攻撃を始めたのである。

   番組の出演者たちは、個人のSNSを使って番組の宣伝をさせられるので、視聴者からの批判を直に受けてしまうため、同様のリアリティショーに出た経験のある女性は、「罵詈雑言を受けるうちに、自分は誹謗中傷されるような人間なのだと思い込んでしまうこと。真実を言えない(番組の制作過程を明かしてはいけないという契約書を交わしているため=筆者注)ストレスが続くのはとても苦痛で、脳が爆発しそうになりました」といっている。

   木村花は、ヒールになれるプロレスラーではなかったようだ。5月23日午前3時半ごろ、亀戸の彼女の自宅で亡くなっているのを発見された。彼女のSNSには、「顔も中身もブスでごめんね。消えれるもんなら早く消えたいよ」と書き込み、自らの腕をリストカットした写真もアップしていた。

   公式サイトは、この番組の中止を発表したが、それですませるほど、この問題は軽くはないはずだ。素人を使って、ヤラセに近い手法で出演者を煽り、その後始末まで本人にやらせるというのは、無責任というより、番組制作の体をなしていないというしかない。

   何があっても、われわれで守る。そういう体制をつくらずに、面白ければ何でもありという姿勢が、こうした悲劇を招いたのは間違いない。責任はフジテレビなのか、Netflixなのかはわからないが、日本でも躍進を続けるNetflixについた"汚点"を軽くみてはいけない。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)、『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)、『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、 『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)、『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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