台湾新幹線の建設にまつわる日本人と台湾人の交流を描いた吉田修一の小説「路(ルウ)」を原作に、NHKと台湾の公共放送局PTSが共同制作した全3話のドラマの最終回だ。
1999年12月、台湾新幹線の車両と電気システムを日本の企業連合が受注して5年がたった2005年、開業予定日が迫る中、新幹線建設のために設立された現地企業に勤務する多田春香(波瑠)らの懸命の努力によって、遅れに遅れていた走行試験がようやくスタートする。
しかし、安全性の確認に予想以上の時間がかかることが判明する。技術面の日台折衝を担当している技術コーディネーター安西誠(井浦新)は疲労困憊だった。日本に残してきた家族ともうまくいかなくなり、日本人相手の高級クラブ「クリスタル」のホステス・ユキ(邵雨薇)とのっぴきならない関係に陥っていく。
そんな中、日本の新聞が「台湾新幹線 開業延期」という記事を掲載し、日本側と台湾側の相互不信、いがみ合いは頂点に達する。
日本から突然帰ってきた劉人豪
名古屋のホテルに勤務する春香の婚約者、池上繁之(大東駿介)が心配して台湾にやってきた。春香が行きつけの台湾料理屋で、池上は「開業が延期されれば、結婚が遅れるってことだろ」と不満をぶつける。そんな池上に春香は「大切なのは結婚だけじゃないでしょ」と、つい声を荒げてしまった。2人は女主人に「喧嘩するなら、外行く」とたしなめられる。
自分勝手な池上と距離を感じ始めた春香は、「好きな人とは友達にはなれない」と身を引いた台湾人の恋人、劉人豪(炎亞綸)を思い出していた。そんなとき、日本の設計会社に勤務している劉が台湾に戻ってきた。(よる9時放送)
寒山