日本と台湾の公共放送局が共同制作した話題のドラマ「路(ルウ)~台湾エクスレス~」(全3話)が5月16日からNHKでスタートしているが、ネットでは激しい賛否両論が起こっている。
「台湾新幹線プロジェクト」の軌跡を縦糸に、日本人と台湾人の心の絆を描いた吉田修一の原作小説「路(ルウ)」を、NHKと台湾の公共放送局PTSの共同制作でドラマ化した。
日本の婚約者と台湾美青年の間で揺れる9年越しの恋
台湾に新幹線を走らせる日台の技術者たちの苦闘を描いた骨太の社会派ドラマだと思って見たら、3組の男女の恋愛模様と1組の高齢男性の友情を描いた人間ドラマであることに「期待が裏切られた」という声が多いのだ。
物語は――1999年、入社4年目の商社社員・多田春香(波瑠)は台湾高速鉄道のプロジェクトの一員として台湾に出向する。春香には大学時代、初めて台湾を訪れた夏の切ない思い出があった。エリック(アーロン)という台湾人青年と偶然出会い、たった一日だけ台北を案内してもらったが、その後連絡が取れなくなっていた。春香には名古屋に婚約者がいた。エリックへの思いを封印したまま、台湾に赴任すると......。
このほか、妻子を日本に置いたまま台湾人ホステスと恋に落ちる日本人駐在男性、日本人の子を育てる台湾人シングルマザーに恋をする台湾人青年、戦時中、ともに旧制台北高校に学びながら台湾人の親友を「二等国民」と呼んでしまったことを悔いている日本の老人などの物語が同時進行していく。
まずは「良かった」というネット上の声から。みんな「恋愛ドラマ」として楽しんでいる人が多い。
「昔、台湾高速鉄道の試験に事務的に関わった者として、懐かしく思いました。ただしドラマでは恋愛に注目しています。やはりエリックと春香が結ばれてほしい。2人が会えなかった8年に別の恋人ができたこともわかります。でも、エリックへの気持ちはもっと熱いもの。彼への気持ちを偽って婚約者と結婚するほうが不誠実。どう見ても、エリックのほうが魅力的です。あんなにハンサムで一途に思ってくれる男性いませんよ!井浦新さんが疲れた中年の寂しさ感を出ていて、とてもいい。こちらも奥さんよりはキレイで優しいホステスのユキさんに惹かれちゃうのはわかります」
「男性視聴者ですが、最近のドラマの中では一番楽しめています。台湾新幹線開通を絡めたストーリーは少し荒い展開ですが、婚約者と台湾人男性との間で揺れる波瑠。どうなるのだろう、と期待しながら観ています。何となく結婚していく男女が多い現実を考えると、本当に好きな人と一緒になって欲しい。ちなみに台湾の友人に聞くところによると、日本人と付き合ったり、結婚したりする事は結構皆から羨ましがられるそうです」
「台湾のツンデレ王子とセクシー男優がスゴすぎ」
「一度だけ観光で行った台湾に興味を持ち、ドラマを楽しみにしていました。原作も読みましたが3話に収めるにはかなり無理があったように感じます。私個人的には高橋長英さんの戦中友情物語の名演技が見られたことがとても満足です。最終回が楽しみです」
「波瑠の凛とした表情と姿勢がよい。品があって動きもしなやか。ドラマ中、台湾の風物詩を挟んだストーリーも良かった。闇夜に浮かび上がる朱赤の衣装。あの赤はいかにも台湾らしい、国民色のようなものかな?色彩が秀逸だった。もうあと1回で終わりかぁ~。せめてワンクールはやって欲しかった。あの美人ホステス、アフターにコブつきって、そりゃ井浦新じゃなくても普通あーなるわな」
何より、ドラマに登場する台湾の俳優陣が、魅力的でステキだという声が圧倒的に多い。
「エリック役のアーロン。25くらいかと思ったら34歳だった。歌手でもあるのね。あの純粋さを醸し出せるのはすごい。新幹線を交えながら、いろいろな人間模様を描いています。台湾の空港での『台湾に戻ったよ』のシーンがよかった。私なら指輪を返してエリックと生きます!」
「私も婚約を断ってエリックにします!だって波留、婚約者の家に泊まらないじゃないですか!涙を流したエリックに、なんと清らかだろうと心が洗われました。あんな人が本当にいるなら、ぜひ見たいです」
「アーロンの日本語が期待以上に達者なのが感激! 彼は台湾ドラマでのツンデレ王子として有名。新境地開拓ですね。そして、波留ちゃんを口説くヒゲ男レスター役の梁正群がセクシーでステキ!日本でブレイクしてほしい。それに比べて日本勢の役者さんの英語力はお粗末至極」
台湾に対する「上から目線」が気になる。現地の人はどう思うか?
一方、「がっかりした」という声は、「恋愛ドラマ」とは思わなかったという期待はずれが大半だ。
「NHK・日台共同制作・新幹線...だし、マジで台湾新幹線を巡っての国と国との技術者が攻防する、プロジェクトX的なモノだと勝手に期待していた。昔、台湾新幹線工事のために、福岡の会社から友人が何度も台湾と往復していた。そんなシーンもあるかなと思ったら、3人の男と3ツ股をかける浮気オンナの話だった」
「違和感MAXなストレートな感想。なぜ波留はプロジェクトメンバーに選ばれたの?他の社員より突出した技術キャリアもナシ、鉄道に興味もナシ、波留が寺脇さんに『なぜ私が?』と聞いた時、『だって台湾好きなんだろう?』。国を挙げての重大なプロジェクトなのに、この無責任な言葉に驚いた。1話目で波留が唯一仕事をしたのは、会議の席にボイスレコーダーを置くだけ。後は...頭の中が台湾男子エリックを追いかけることだけの物語」
台湾に関して「上から目線」を感じるという指摘も多かった。
「井浦新が言う『お前は台湾人のホステス』というセリフ。高野長英が言う『二等国民』のセリフ。これ日本人が台湾人を差別している話を描きたかったの? 日本の新幹線技術を押し付ける話といい、台湾に対する上から目線があふれていて、台湾の人がこのドラマを見たらどう思うかが気になった。突如少数民族のお祭りが出てくるし、あっちこっちに話が飛んでまとまっていないのが残念。調べたら、台湾のネット掲示板でも、高鉄の話かと思ったら浮気女の話で日本っぽいって言われているみたい」
「台湾好きにはお勧めできない。台湾新幹線に日本統治時代、ありがちな恋愛関係多数、家族関係、地震、少数民族とストーリーの要素が多すぎて、かつどれも深掘りされておらず、印象に残らない。自分もそうだが、台湾好きが半分旅行番組として観る分にはよいかも。あと、台湾に対する上から目線の開発(教えてやった感)が随所に感じられて不愉快。親善ドラマのつもりかもしれないが、台湾の人たちも同じ感想を持つと思う」(テレビウォッチ編集部)