先週土曜日の23日(2020年5月)にプロレスラーの木村花さんが22歳で死去した。木村さんはフジテレビ系のリアリティー番組「テラスハウス」に出演し、他の出演者にきつく当たったことなどに対し、SNS上で「いなくなれば、みんな幸せ」「マジで消えてくれ」「もうテレビに出ないで」といった多数の誹謗中傷が書き込まれていた。捜査関係者によると、部屋から遺書とみられる手書きのメモがあったという。
なぜ、このような誹謗中傷を投稿するのか。新潟青陵大学の碓井真史教授(社会心理学)は「誹謗中傷と批判を分けて考える必要があります」と指摘する。
「後でちょっと言い過ぎたかなと」「後悔なかった」
それによると、「誹謗は、ひどい悪口・個人攻撃」「中傷は、ありもしないことを言って評判を下げること」「批判は、ここはいいけど、ここはダメという評価」。本人は批判のつもりでも、言われている方は誹謗中傷と受け止めていることが多いという。さらに問題なのは、悪口などで個人を攻撃する誹謗中傷だ。
「スッキリ」はSNSで誹謗中傷をした心当たりがある2人の男性を取材した。 24歳の会社員は「中学3年の時、こいつ性格悪いよ、と書きました。罪悪感はなかったですし、匿名でやっているからバレないだろうと思って平気で書きました。芸能人への誹謗中傷とかを見て、自分も同じことをやっていたんだなと思って、後悔みたいな感じになりました」
47歳の会社員は「YouTubeのチャンネルの配信者に向かって、そのチャンネル、面白くないといった経験がありますね。くだらない動画あげてんじゃねえ、とか書いちゃっているかもしれない。あくまでも冗談のつもりで、盛り上げるつもりで言ったんですけど、相手がどう受け取ったかどうかは知りません。後にちょっと言い過ぎたかな、まずかったかなと後悔はしました」
相手は軽い気持ちで投稿しているのだから、気にしなくてもいいのではという声もあるが、碓井教授は「(受ける方は)そんなに嫌なら見なきゃいいんじゃない、アカウント削除すればいいんじゃない、といわれても、見ないではいられない。SNSのアカウントをはずしたからといって『あいつ逃げたな』といわれます」と説明する。碓井教授は「被害者にも加害者にもならないように中高生からネットの安全教育が必要」と語る。
司会の加藤浩次「誹謗中傷、どう思いますか」
ロバート・キャンベル(国文学研究資料館館長)「アメリカでは攻撃的な文章を投稿しようとすると、『Re Think』(もう一度考え直してみては)という警報が画面に出る実験があり、1500人の若者を対象の調査では93%が投稿を取りやめたといいます」
加藤「この考え方は抑止になりますね。僕は厳しいことを言いますが、相手の自尊心を何回も傷つける人間は悪意の塊ですから、罰することが必要だと思いますけどね」