累計340万部突破のほしよりこ原作コミックがまさかの実写化に。猫の猫村さんが家政婦として働く不思議な世界観のお話だ。
実写化不可能とされていた猫の猫村さんこと、猫村ねこさんを演じるのは松重豊。松重といえば「孤独のグルメ」の井之頭五郎という当たり役あり、どこから見ても五郎さんで、さすがに猫村さんはないだろうと思ったが、回を重ねるごとにじわじわきて、今じゃもうどこから見ても猫村さんにしか見えない。猫のかぶりものと着ぐるみで猫村さんになりきる松重、さすがだ。
物語は、猫村さんが自分を拾ってくれた恩人のぼっちゃんとの再会を夢見て、家政婦として働くところから始まる。猫村さんが働くのはお金持ちの犬神家。そこで働く猫村さんの日常やまわりの人々とのふれあいを描く1話2分30秒のミニドラマ、いやミニミニドラマだ。
濱田岳、石田ひかり、市川実日子、松尾スズキ、小雪...と豪華キャスト
ともすれば、悪ふざけと一蹴されがちなドラマだが、そう思わせないのは松重以下、演じ手の技量で、こんなミニドラマにベテランから若手の実力派俳優まで豪華キャスト陣が勢ぞろい。そこも見どころのひとつだ。猫村さんの恩人のぼっちゃんに濱田岳、家政婦所の所長・石田ひかり、同僚・市川実日子、犬神家の父・松尾スズキ、母・小雪、娘・池田エライザ、息子・水間ロンといった布陣。ほかに染谷将太、安藤サクラ、荒川良々らも出演する。
「私、猫舌だからぬるいかもしれないけど」とお茶を出す猫村さん。路地を歩く時も、塀に置かれた猫よけのペットボトルをさりげなくよけるという芸の細かさ。犬神家で息子が就活していると聞くと「就活? とんかつ? かつおぶし?」とおとぼけな感じがなんとも癒される。ご主人が猫村さんの料理の腕前を褒めるも、「大したものだよ、猫村さん、猫なのに」となんともシュール。つい、ニヤッとしてしまう。猫村さんが作るネコムライス、食べてみたい......。
豪華なのは出演者ばかりではなく、主題歌の「猫村さんのうた」は世界の坂本龍一が曲を書き下ろし、松重本人が歌うもの。優しい歌声にも癒される。全24話。地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信。(毎週水曜深夜0時52分~)
くろうさぎ