NHK連続テレビ小説「エール」は18日(2020年5月)放送の週から古山裕一(窪田正孝)が早稲田大学の応援歌『紺碧の空』の作曲を依頼される物語が始まり、売れる作曲家としてスタートを切る。
ネット上では、早稲田大学関係者を中心に「早慶戦が懐かしい!」「いよいよ面白くなった!」という興奮の声が高まっている。
物語は、田中(三浦貴大)ら早稲田大学応援団がドッドッドッと隊列を組んで裕一の家に押し掛けるシーンから始まる。早慶戦で慶応に11連敗を喫した早稲田の応援団は、慶応の新しい応援歌「若き血」が歌われ出したことから連敗が始まったと考え、自分たちにも心沸き立たせるような新しい応援歌が必要だと考えたのだった。
そして、公募で決まった「紺碧の空」の詩に曲をつけてほしいと頼み込むが、裕一は引き受けたもののまだスランプに陥り、思うように曲が浮かばないのだった。曲の締め切りまで10日。さあ、どうする裕一......。
「いやー、卒業生にはたまらない。涙なくして見られません」
ネット上では今後の展開に期待の声が殺到している。
「思い立ったが吉日!とばかりに、怒濤の勢いで古山邸へと押し寄せる早稲田大学応援部。元気の良さと弾ける笑顔に冒頭から圧倒されましたね。次女も現在、東京六大学に通う学生ですが、早稲田に対する対抗心は相当なものであるとか。ましてや当時は、六大学野球の早創期。往時のスタジアムの熱気が、実際のモノクロ映像からも手に取るように伝わり、応援歌が如何に重要な位置付けであったのかが、実によく理解できた次第です」
「いやー、早稲田卒業生にはたまらないです。涙なくして見られないエピソード。大学に入った4月、コンパの連続だった。昼は大学、夜は馬場の居酒屋という生活。その際に毎回歌わされたのが『紺碧の空』と校歌。歌詞と作曲者の古関裕而氏の名前が刷り込まれ、春の早慶戦では肩を組んで放歌高吟していた。ちなみに早慶戦では『早慶賛歌~花の早慶戦』というのを両校で合唱する。これも古関裕而氏の作曲だ。『早慶賛歌』では互いに相手校の応援団が歌唱指導にやってきたものだった」
「悠一の起死回生シーンも見ものですが、特に野球で点が入ると未だに歌い活力が鼓舞される名曲『紺碧の空』が出来上がる場面を単純に観てみたい。コンバットマーチの方が知名度は高いが、神宮には慶応の『若き血』と並んで『紺碧の空』の空は欠かせない。六大学以外でも早実の甲子園での『紺碧の空』が好きです」
また、早稲田や東京六大学関係者以外からもこんな声が。
「早稲田出身の人の結婚式の余興でよく披露しているね。学ラン着た十数人がなだれ込んで来て何事かと思った」
「『紺碧の空』って、LIFE!で早稲田の浪人生役の吉沢亮くんが歌っていたあれですね」
「学徒出陣の先頭が東京六大学だったことを忘れないで」
また、こんなウンチクを披露する人もいる。
「当時、野球といえば早慶戦がその代名詞であったようですね。北杜夫の『楡家の人々』でも、早慶に全然関係ない主人公周二が早稲田ファン、その姉藍子が慶応のファンで、ラジオ実況のときに二人が張り合う記述があります。架空の早慶戦の実況レコードもあったようですし、周二は、7、8、9番に、主力の高須、永田、呉を置いて敵に油断させるシミュレーションゲームをするくらいのめりこんでいました。それくらい早慶戦は、早慶を超えた社会現象だったようなので、早稲田ばっかり、慶応ばっかりとか、目くじらを立てず、おおらかな気持ちで楽しめばいいのかなと思います」
最後にこんな指摘をする人もいた。
「ドラマを見てわかるように、日本の大学で一番愛校心が強いのは東京六大学。そして、ドラマでも描かれるであろう戦争。その学徒出陣で先頭を切らされたのも東京六大学。国家から愛校心、愛国心、連帯意識をうまく利用されたのではないか? あの応援団員のような純朴な青年が戦争に駆り立てられていく状況は、間違いなくあった。さらに裕一は、ハーメルンの笛吹き男の如く、若者を扇動する曲を作らされている。それを考えると、このドラマ、単純に楽しんでばかりいられなくなった」(テレビウォッチ編集部)