今週も、引き続き日活の映画の話をします。2月29日(2020年)に公開された「Red」は、直木賞作家の島本理生さんの作品を、夏帆と妻夫木聡の主演で、三島有紀子監督が映画化したものです。
キャッチフレーズは「愛することが、生きることだった。」で、「大人のラブ・ストーリーでありながら、美しくも鋭く、誰のものでもない、あなたの"今"に問いかけてくる、新しい"恋愛映画"が誕生。」と謳っています。
主婦として一流商社勤めの夫と娘、夫の両親と何の不自由もなく暮らしていた女性(夏帆)が、ある日、かつて愛した、学生時代にアルバイトをしていた設計事務所の社長(妻夫木聡)に再会し、激しく心をゆさぶられ、本当の自分に気づいてゆくのです。
娘を振り切ってまで、本当の自分がつかみたいものとは?
夏帆は妻夫木が勤める会社に就職し、子育てに積極的とは言いきれない夫の態度や嫁姑問題なども影を落とし、妻夫木との関係に沈み込んでいきます。その後、妻夫木が重い病を患い、会社を辞めてしばらく治療に専念するという話を聞いた夏帆は、彼との関係を続け、彼に寄り添って生きて行くべきか、家族、とくに娘との絆を守るべきかで、身を砕かれるような決断を迫られることになるのです。
同じ設計事務所で、営業として働いている柄本佑も好演しています。最後に、「一緒にお家へ帰ろう」と迫る娘を振り切って、妻夫木との愛に生きる夏帆の姿に、感動を覚えました。
結論をどう判断するかは、人それぞれですが、私は、これまで自分を押し殺して流されるように生きてきた彼女が、初めて自分の手で何かを選びとったと思いました。