古山裕一(窪田正孝)は、早稲田大学応援部の団長・田中隆(三浦貴大)から応援歌「紺碧の空」作曲の依頼を受ける。大学野球・早慶戦で慶應に11連敗していて、勝つためには、新しい応援歌が必要だというのだ。引き受けたものの、作曲はなかなか進まない。周りは「自分の音楽を作ろうとしているから書けないのでは」と指摘するが、裕一は「自分の音楽を捨でたら意味がない」と意固地になるばかりだ。
そして、交響曲を書き上げると、自分の才能を示したい一心で、大御所作曲家の小山田耕三(志村けん)を訪ねた。しかし、見向きもされなかった。すっかり自信をなくした裕一は、「僕はだめだ。何もない人間なんだ」とすすり泣いた。
小学校の運動会でハーモニカ演奏に励まさたことを思いだした
早慶戦まで3日という日、田中がやってきた。応援歌はまだ1音も書いていないと言うと、「先生、俺らは慶應に勝ちたか。やつらの応援歌ばしのぐ歌が必要とです」と迫る。慶應には「若き血」という応援歌があった。
裕一「応援歌って、勝ぢ負げに関係ありますか。早稲田が負けんのは、ただ弱いがらですよ。僕もそうです。曲が採用されないのは力がないがらなんです」
すっかり自信を失っている裕一を見て、音は田中に「裕一さんの心を動かせるのは、あなたしかいない。あなたのための応援歌を作ってもらおう」とけしかける。
早慶戦1日前、田中が裕一を再び訪れた。そして、自分は親友を元気づけたくて応援部に入ったことを話す。かつてバッテリーを組んでいた親友は、ケガがきっかけで学校をやめてしまったが、野球で早稲田が勝つのを励みにしているというのだ。
田中の話を聞き、裕一は小学校の運動会でハーモニカの演奏に励まされてゴールしたことを思い出した。「僕は、忘れでだ。自分ばっかし見て、周りに人がいることを忘れでました」。裕一はすぐに応援歌を書き上げた。「紺碧の空」だ。
翌日、新しい応援歌を得た早稲田は慶應に勝利した。礼を言う応援団員たちに裕一は頭を下げた。「す、救われだのは、僕の方です。おかげで目が覚めました」
(NHK総合あさ8時)