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マスク2枚と小銭で国民に我慢強いる政治家と役人どもの無為無策――これから2年間はタダ働きさせろ

   今のメディアを見ていると、戦時中もかくやと思わんばかりの「標語」が飛び交っている。「欲しがりません勝つまでは」「大本営発表」「村八分」「自粛警察」「非国民」などなどである。この国の政治家のたちが悪いのは、週刊現代で作家の西村健がいっているように、「営業自粛も『命令』ではなく『要請』です。フランスなど欧米では、外出禁止の命令を出す代わりに企業に対する補償をしています。それが日本では国が補償する義務のない要請という『お願い』にとどめ、カネを出し渋っているのです」

   ようやく出したと思えば、サイズの小さい不出来のマスク2枚と、わずかな小銭である。この際、公務員や政治家から給料を取り上げ、2年間ただ働きさせたらいい。それぐらいしないと、この国の政治家や役人は目が覚めない。

   都内で焼き肉店を営む男性がいうように、何とか潰れないようにしていくしかないのだ。野口悠紀雄にいわせれば、IMFの見通しでは、新型コロナウイルス肺炎は今年中には終息せず、来年は第2波が来ると予測しているという。そうなると「2024年まで5年間マイナス成長が続く」(野口)そうだ。

   政府の中には、「自粛で潰れる企業は淘汰されればいい」という者がいるという。5月1日から開始された持続化給付制度も、それまでに倒産してしまった事業主は対象外。それは「自己責任」なのだ。そもそも国の基本姿勢は「給付」ではなく、あくまでも「融資」だ。無担保などと甘い言葉を並べるが、結局は返済しなければならない。

   家賃に下水道、ガス代。自粛中でも出前を取れば、店で食うより高くつく。国民にこれだけの不自由さを強いて、終われば、「ごくろうさま」で済まそうというのである。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)、『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)、『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、 『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)、『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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