古山裕一(窪田正孝)がコロンブスレコードのサロンに行くと、作曲の大御所、小山田耕三(志村けん)がいた。妻の音(二階堂ふみ)から、自分が専属契約できたのは小山田の推薦のおかげだと知らされていた裕一は、思い切って声を掛けた。「い、いつか先生のように、青レーベルでも、きょ、曲を書かせでいただける作曲家になれるよう、精進いだします」
コロンブスレコードでは、西洋音楽やクラシックは青レーベル、歌謡曲は赤レーベルと呼ばれていた。古山は赤レーベルでの契約だった。
小山田「古山君は、赤レーベルではどんな曲を出したのかね」
裕一「じ、実はまだ採用には至らず...」
沈黙の後、小山田は取り巻きとサロンから去って行った。
この日から裕一は寝る間も惜しんで作曲に没頭した。しかし、焦れば焦るほどうまくいかない。書き直すたびにディレクターの廿日市誉(古田新太)に譜面を突き返されてしまう。
音は記念講演会の主役選考会に挑戦
音は記念公演の出演者選考会が迫っていた。演目は「椿姫」、「プリマドンナは夏目千鶴子(小南満佑子)だ」というのが学内の見方だったが、佐藤久志(山崎育三郎)の励ましもあり、音も主役を目指すことに決めた。
ところが、選考会の朝、裕一が腹痛で倒れてしまった。医師の診断では心労が原因ということで、音は裕一の世話を喫茶「バンブー」のマスター夫婦に任せ、選考会場へ急いだ。
会場に着いた音を、今度は教官が入れてくれない。定刻の9時を過ぎているので受験資格はないというのだ。居合わせた夏目千鶴子は「わたくしの時計は8時59分を指しておりますが」。久志もいて、「僕の時計もです、先生。あの時計は少々せっかちのようですね」
2人に助けられ、音はなんとか1次選考を受けることができた。通過者は音も含めて10人だった。
(NHK総合あさ8時)