国会ではあさって15日(2020年5月)にも検察庁法改正案が委員会採決されそうだ。検察官の定年を63歳から65歳に延長し、役職は63歳までとするが、この役職定年を内閣の判断で3年までのばせるという内容だ。これが「政治家の不正を取り締まる検察庁に内閣が介入するのはおかしい」「検察が政権の思い通りにされてしまう」「コロナ対策で日本中が混乱しているときのどさくさ紛れ」と批判を呼び、SNSには記録的な抗議が集まっている。多くの芸能人が声を上げたことでも注目されている。
発端は今年1月、安倍首相の覚えめでたい黒川弘務・東京高検検事長の定年を、閣議決定で半年延長し、検察トップの検事総長へのレールを敷いたこと。それを今度は、コロナウイルス騒ぎの最中に法制度化してしまおうというわけだ。野党各党はきのう12日に役職定年部分を削除した修正案を提示したが、政府・与党は応じずに突っ走る構えだ。
厳格なはずの検察官が時の権力の使い走りになる?
浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「600万とも700万ともいわれる抗議が集まっても、与党は民意ではないと主張していますね」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「検察官は独立しているから、政治家が怖がる。そのトップを内閣にコントロールされたら、政治家が何をやっても立件されない。黒川さんの話自体もひどいが、法をかえると安倍政権だけのことではなく、ずっと続いてしまう。これはもう暗黒ですよ」
検察官は「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)」の記章(バッジ)をつけている。秋の冷たい霜や夏の激しい日差しのことで、そこから周囲に影響されることなく厳格な職責を果たす決意があらわされている。今回の改正案はそれを汚すものだ。