検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案に著名人ら500万件を超える抗議の声が寄せられている。きっかけは、「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターだった。女優の小泉今日子、俳優の浅野忠信、井浦新、作家の辻仁成さんらも同じハッシュタグをつけ投稿している
検察庁法案のポイントは(1)検察官の定年を63歳から65歳に延長する(2)次長検事や検事長など幹部は63歳でポストを退く(3)特例として内閣が定めた場合、幹部ポストを続けられる、の3つだ。問題とされているのは3つめの「特例」で、「政権の都合で定年延長が行われる懸念」があるからだ。
若狭勝氏「ただ政権の言うままになるとは、思えませんが」
発端は今年(2020年)の1月、東京高検の黒川弘務検事長の定年延長が閣議決定されたことだ。黒川氏は安倍政権の下で法務省の官房長や次官を歴任し、「安倍政権に近い」と指摘されていた。本来なら検察庁法に基づき今年2月に63歳で定年、退官する予定だったが、国家公務員法により「特別の事情」として延長された。検察庁法には検事総長の定年は65歳、検察官は63歳とあるが、定年延長に関する記述はない。
このため、検察官の定年を延長することにし、今月(2020年5月)8日に国会審議入りした。野党は「黒川検事長の定年延長を事後的に正当化するため」「検察の人事が政権の都合で恣意的に行われるのでは」と批判している。
司会の加藤浩次「背景に黒川さんを検事総長にしようとする疑惑があったのではないかということですね」
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「検察は起訴権を独占しているのです。それが、疑わしいと思われるということは決してプラスになりません。慎重にしなければなりませんね」
黒川氏と同期の元検事の若狭勝氏は、「今回の改正案は戦後の検察の歴史上、極めて危ない方向に変更が加えられようとしている、といっても過言ではありせん」と話し、黒川氏については、「彼は非常に人当たりが良くて普通の検事と違って、政治家から何か言われても、はねのけたり、突き返したりすることなく、いろいろと受け入れる人格なんです。政治家からすると非常に使い勝手がいいというところがあります」と言いながら、「ただ、仮に彼が検事総長になった場合には、彼の性格からして、政権の言うままになるとは、とても思えません」と語った。