古山裕一(窪田正孝)はレコード会社と専属作曲家の契約を結んだが、半年たっても1曲も採用されない。どこがダメなのか、それすらわからず悩んで、同期の木枯正人(野田洋次郎)と浮かない顔で話す。「またダメだった。21曲連続不採用だよ」
木枯「こっちも19曲連続不採用。そっちは、所帯もちだもんな。お金どうするの?」
裕一「また契約金いっぱい残ってるから」
木枯「は? あの契約金、印税の前払いだぞ。自分の金じゃない。借金みたななもんだ。売れなきゃ、全額返還請求されるぞ。家族養えなくなるぞ」
裕一「えっ、借金?」
音楽学校に通い始めた音に「プリンス」と呼ばれる男が近づいてきた
春になり、妻の音(二階堂ふみ)も音楽学校がスタートした。夢に向かってはりきって出席した入学式で、音は同じ1年に夏目千鶴子(小南満佑子)を見かけた。夏目は最年少で帝国コンクールの金賞に選ばれた実力の持ち主だった
入学式様子を裕一に話すが、裕一は契約金のことで頭がいっぱいで上の空だ。「裕一さん、なんかあったの。ちゃんと話てよ」
裕一「契約金なんだけど、実はあれ借金と同じなんだ」。音はおどろいて契約書を確認する。「前払金って、確かに書いてあるけど、お金を返すっていうのはどこにも書いとらんよ。お金返す約束なんてしとらんってことよ。大丈夫」
音の言葉で裕一は元気を取り戻した。
音がオペラ実習の授業を受けていると、教室の後方から上級生で学校でプリンス(山崎育三郎)と呼ばれている男が声をかけてきた。彼は自分が特別授業をすると言って、歌の相手に夏目千鶴子を指名した。千鶴子の歌唱力や表現力に、圧倒された生徒たちは、学校の創立記念公演の「椿姫」の主役はこの2人だろうと噂した。
(NHK総合あさ8時)