「まるで生殺し。仕事をやめる役者が増えている」宮本亞門が語るエンタメ業界の絶望的な状況

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   新型コロナの影響でほとんどの公演が中止になるなど過酷な状況が続いている演劇業界。演出家の宮本亞門さん(62)は「グッとラック」の取材に対し、「落胆しかないです。生殺し状態」と現状を語った。役者の中には、稽古にも行けず、生の関係で付き合うことができないため、仕事をやめようという人が何人も出てきているという。

   しかし、エンタメ関係者に対する政府の補償は不十分だ。3月27日(2020年)に、宮田亮平文化庁長官は「明けない夜はありません、今こそ私たちの文化の力を信じ、ともに前に進みましょう」と声明を出したが、補償に関する具体的な言及はなかった。

演者ではなくハコモノに向かうピントはずれな政府の支援

   文化庁は4月30日の補正予算で61億円の支援を決定したが、施設への赤外線カメラ設置や、8K映像などによる劇場収益力の強化など対象はハコモノが中心。宮本さんは「先進国の中でこれほど文化・芸術にお金を出さないところはありません。政治家のみなさんは歌も歌ったこともないし、笑ったこともないのかな」と嘆く。 絶望的な状況の中でも、宮本さんは「あらゆる感情を支えてくれるのが演劇でありエンターテインメント。今、この時期に次の生き方、人間性が試されている。僕は絶対ポジティブにいて、いい方向に向かうと信じて突き進んでいきます」と語った。

    キャスターの立川志らく「立川談志が『落語を聞いていない政治家は誰だ』と言ったことがあるが、エンターテインメントをわかっていない人は国を動かせない。(ハコモノの支援は)ハコだけ立派になってもやる人がいなくなっては...。ハコがなくても芸術家を支援すると芸術は生き残る」 鴻上尚史(作家・演出家)「僕たちは演劇だけを救えといっているわけではなく、自粛と補償をセットでお願いする一環。食べることも演劇も大切」

   国山ハセン(TBSアナウンサー)「文化芸術が生き残る道にオンラインがある。現在ビデオ会議サービス『Zoom』を使った演劇、自宅で撮った動画を審査する全日本ピアノeコンクール、ライブ配信サービス『SHOWROOM』では、新たに有料配信が始まる。宮本亞門さんもネットを使ったミュージカルを考えている」

   立川志らく「私もそろそろ落語をネット上でやろうかな」

   鴻上尚史「オンライン演劇は、面白くなるほど映画になってしまう」

   上地雄輔(俳優)「アーティストや芸人さんは配信できるものがあるが、役者は役をもらってから成立するもので、フリートークでできるものではない。役者仲間が一番苦しんでいる」

   小林寅喆(いんてつ)教授(東邦大学)「私の師匠は『医療人である前に人間であれ』と言って、感染症ではなく文化とか芸術の話ばかりしていた。(文化・芸術は)コロナ収束後に人を豊かにして、社会を維持するのに重要なもの」

   文・みっちゃん

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