二転三転した一律10万円給付やマスク配布など、政府の新型コロナウイルス対策が遅々として進まないなか、地方自治体の動きはスピーディだ。兵庫県明石市内できしめん店を経営する宮内正次さん(62)は、営業自粛で4店舗のうち2店舗を閉めており、収入激減で家賃の支払いに困っていた。
家賃が50万円以内の個人商店などを対象に、2か月分の賃料(上限100万円)を無利子・無担保で融資するという市の制度に、22日(2020年4月)に申し込んだところ、27日には市から89万円が振り込まれた。「早くても1週間から10日はかかると思っていました。本当にスピード感があって素晴らしいと思いましたね」と話す。
泉房穂市長は「市民から預かっているお金(基金)は、市役所が貯金していてもしょうがない。今使わずにいつ基金を崩すんですか」と熱く語った。明石市にはこのほか、子どもを持つひとり親に1世帯あたり5万円支給、生活困窮者に10万円支給といった支援制度もある。
泉市長といえば、道路工事の用地買収をめぐって、職員に「火をつけてこい」などと暴言をはいてひんしゅくをかった視聴だ。今回のコロナ対応をめぐっては、市民の評価が高いようだ。
政府もたもたに比べてスピーディーな自治体
北海道東川町はきのう28日から給付金10万円の「先払い」を受け付け、早ければあす30日にも振り込まれるという。熊本県高森町はドライブスルー方式の受け付けを開始しており、あさって1日にも振り込まれる。
福井県勝山市は0歳から15歳の子どもを対象に、1人当たり6万円を給付する制度を設けた。必要な費用1億5000万円について、水上実喜夫・副市長は「まだ国の交付金も見えない段階で貯金を崩した事業ですが、市民のコンセンサスも得られやすかった。スピード感が一番大切。金額が小さくてもすぐにできることを実施しました」と話していた。
髙橋知典(弁護士)「明石市のようなリーダーを選んできた地域と、なあなあで選び続けた地域とで、スピード感が全然違う。同じ『コロナ』という問題用紙に対し、どういう答えを出すかによってリーダーの資質が問われています」
キャスターの立川志らく「明石の市長はいろいろ問題はあったけど、それでも再選しました。なぜ自分がリーダーになったのか、というものがあるかないか。この精神ですよね」