司会の小倉智昭が眉をしかめながら取り上げたのは、新型コロナウイルスの感染防止に名を借りて、嫌がらせや誹謗中傷を繰り返すネクラ連中たちだ。「自粛が続くなか、要請を守りながら営業中の店舗に、バカという言葉をはく、自粛警察ともいえる過剰な反応を示す人たちが続出しています」
東京都内の煮込みが自慢の老舗居酒屋のシャッターに、ある朝、こんな殴り書きの紙が貼られていた。「このような事態でまだ営業ですか?」とある。店は自粛要請通り午後8時までの営業で、座席も減らしている。店が「都の要請を遵守し、コロナの拡大防止に注意しながら、信念をもって営業を継続してまいります」という説明を貼ると、これにバツがされて、「バカ」と書き加えられていた。店主は「悲しい」と嘆く。
自粛要請通り午後8時まで営業の店に「バカ」の貼り紙
別の都内の飲食店では、客を入れず、歌手のライブ配信を流したら、いつの間にか店内に「自粛してください。次、発見すれば、警察を呼びます 近所の人」という紙が貼られていた。志村建児ディレクターに店主は、「女性のシンガーソングライターで、当日は店には彼女と私と嫁だけ。本人が持参したスマートフォンで配信したのです。これ(嫌がらせ)が全国にあるとしたら、それはすごく悲しい」と話した。
徳島では、県外ナンバーの車に誹謗中傷を浴びせたり、投石やあおり運転が頻発したりしている。県内在住者でも「支店の社員の愛媛ナンバーの車で昼食に行ったら、入店を断られた」そうだ。飯泉嘉門知事が「徳島県においでいただくことのお断りをさせていただいております」と宣言したのがきっかけだった。
静岡・伊東市では温泉施設の駐車場で、県外ナンバーの車が傷つけられ、警察が器物損壊容疑で捜査している。
県外ナンバーの車を傷つけるイヤがらせ
緊急事態宣言が出てから、こうした自粛を振りかざす嫌がらせや、医療従事者への中傷・差別、感染したテレビ関係者やタレントらを番組に出すなと攻撃するネット書き込みが増えている。これに、日本赤十字は心ないことはやめようと呼びかけるこんな動画を流した。
「ウイルスの次にやってくるもの。もしかしたらウイルスより悲しいもの。......きちんと手を洗うだけで、感染する確率はぐんと下がる。でも、心の中に潜んでいて、流れていかないものがある。そいつは、まわりに攻撃を始める。人と人が傷つけ合い、分断がはじまる」とナレーションは語る。
「とくダネ!」がこうした問題を取り上げたのは評価したいが、番組では誰のコメントもなかった。社会学者の古市憲寿はきょうの出演ではなかったが、こんな時こそ彼の意見を聞きたかった。このコーナーの直後に、「人権への配慮について 正しい情報を入手し冷静な判断を」という政府メッセージをACジャパン枠で流したが、アリバイ的だな。
カズキ