日本でも新型コロナウイルスの抗体検査が始まった。加藤勝信厚生労働大臣は「抗体を持つ人が多数確認できれば経済活動再開の判断につながる」と期待する。免疫を持つ人が増え「集団免疫」状態になればウイルスは広がらないからだ。
千駄ヶ谷インターナショナルクリニックでは1日に10件の抗体検査を受け付けている。子どもが生まれたばかりという警備関係の30代男性は、妻子が病院から帰宅する前に調べようとクリニックを訪れた。検査の結果は陰性(抗体なし)。男性は「陽性(抗体あり)が出て、コロナの心配が薄まれば良かったんですが。今後も注意が必要だと思うとちょっと怖いです」と話す。
WHO「未知のウイルス、現段階では過剰に期待できない」
検査には限界もある。クリニックの篠塚規院長は「このテストは抗体がいっぱいあるのか、中程度なのか、少ないのかは分からない。とにかくあるかないかしか判定してない。それから新しい病気なので、共通したデータがまだ世界的に出ていない。その2つの理由から、陽性と出れば100%安心というわけではない」と話す。
WHO(世界保健機関)も現段階の抗体検査に過剰に期待することに警鐘を鳴らす。「十分な検証がされておらず、検査で抗体を持っていることが分かっても再び感染しないかどうかは不明」というのだ。
医師の今枝宗一郎衆議院議員(自民党)は「活動自粛を永遠に続けていくわけにはいかない。終息への戦略を考えることも必要だ。抗体が確認された場合、医療従事者は安心して医療に専念できる。世界で130ほどの検査キットが開発されているが、性能はまちまちなので、本当に良いものを見極めて活用していきたい」と話す。
伊藤利尋アナ「ニューヨークでは検査の結果、13.9%の人から抗体が確認されました。人口に置き換えると約270万人で、公表されている感染者数の10倍です。もしかしたら、知らず知らずのうちに多くの人が感染していたかもしれないという結果が出ました」
深澤真紀(獨協大学経済学部特任教授、コラムニスト)「抗体検査では、陽性だった人をある程度経過観察する必要がある。抗体を持っている人がもっと悪化してしまう感染症だってある。抗体=社会生活OKという段階ではない」