NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第15回「道三、わが父に非(あら)ず」が26日(2020年4月)に放送されたが、尾張の織田家と美濃の斎藤家の「お家騒動」が描かれ、暗殺に次ぐ暗殺という血なまぐさいシーンの連続がファンに衝撃を与えた。ネット上では、「ものすごい展開...」「うわーー!って何回叫んだか」という興奮の声が上がった。
まず、織田家では――。織田彦五郎(梅垣義明)の手の者によって尾張の守護・斯波義統が暗殺されると、その彦五郎もまた信長の叔父の織田信光(木下ほうか)に碁の途中で刺し殺されるありさま。その信光に暗殺をそそのかしたのが帰蝶(川口春奈)だった。
みたらし団子をほおばりつつ暗殺をほのめかす帰蝶の凄み
帰蝶のもとに信光が彦五郎につくか相談にくるのだが、「彦五郎から碁を打ちに来ないかと誘われているのだが...」という信光に、帰蝶は「碁(=彦五郎)を打ち(=討ち)なされ」と勧めるのだった。ニンマリと微笑みつつ、団子をほおばるシーンに凄みがあった。
一方、斎藤家では――。道三(本木雅弘)が仏門に入り、斎藤高政(伊藤英明)が家督を継ぐ。しかし、道三の正妻の子・孫四郎(長谷川純)と喜平次(犬飼直紀)が、尾張の帰蝶や反高政派の国衆にそそのかされて、高政排斥に動き出す。そこで、高政は病気になったといつわる。そして、見舞いに訪れた弟の孫四郎と喜平次を配下の者たちに討ち取らせるのだった。
高政の蛮行に怒り狂ったのが道三。道三は2人の息子の亡きがらから流れ出た血を顔に塗りつけると、「この血の匂いを嗅ぐがよい。高政! 許さんぞ!」と大声を上げるのだった――。いよいよ次回「大きな国」は道三と高政の父子決戦だ。
ネット上ではこんな声が上がっている。
「道三劇場。道三が出てくると重みと凄みが出る。斎藤家のドロドロ・ゴタゴタは知っていたが、映像で見るとえげつない。道三と鷹狩りに行く孫四郎の勝ち誇った顔に、孤独な高政の敵意の表情。この二人の関係を作り出したのは、道三お父さんだと思った。高政は『父上の間違いは孫四郎を甘やかしたことと、信長を高く評価したこと』と十兵衛に言ったが、道三が、兄弟で協力し合えるようにしておかなかったことだと思った。高政の心に気付かず、わが子高政を敵とみなす道三と、いなくなった頼芸をいまだにわが父と言い続ける高政が悲しかった。どうなるのかな。次回も楽しみ」
信長に美濃を統一させるため道三は高政に家督を譲った?
「『古きを脱し、新しき世を作るのは新しき血じゃ』。予告編の冒頭の宣言が道三の真意。己の意に反する高政に家督を譲ったのもその為。大きな国を作る。美濃と尾張を一つにまとめる。マムシは娘婿に会い、ソレを決意した。ソレを成し得る者は高政でも孫四郎でもなく、義理の息子のほかにない。十兵衛の『何故高政に家督を譲ったのか』との問いかけの『そのような大事な話、ただでは話せぬわ』と答えたのは、まさに最重大事項だったからだ。自分の目の黒いうちに美濃の反勢力を炙り出し婿殿に討たせ大きな国を作らせる。実にマムシらしい」
「操られ三題噺の『麒麟がくる』。道三は深芳野の自爆的最期で高政に家督を譲る。帰蝶は、織田信光に(碁を)打て、打て(討ての隠語)で彦五郎を暗殺。マクベス夫人みたい。稲葉一鉄がイアーゴさながらに高政に異母弟誅殺をほのめかす。それでもって黒澤映画の『乱』のような怒涛の展開でマムシ撃沈の長良川合戦へ。十兵衛の存在感のない、右往左往ぶりだけが浮いている」
一方、帰蝶の堂に入った悪女ぶりにも称賛の声が――。
「帰蝶様とみたらし団子。楽しみにしていた。期待以上でした。素敵。帰蝶様を見ていると映画『白いドレスの女』(編集部注:キャスリーン・ターナー主演の悪女が美貌を武器に完全犯罪を成功させる)を思い出す。めちゃくちゃクレーバーなヒロインが微笑みながら言うの、『女は バカだから』って。その余裕、そのしたたかさ。最後に苦笑いするのは男」
これはやっぱり帰蝶が本能寺の仕掛け人だよ
最後にこんな意見を紹介したい。
「すべては本能寺に向かって進んでいる。1554年某月『帰蝶様が密かに使いをよこされ深く案じておる故、明智と相談し美濃の進むべき道を間違えぬよう思案致せとの伝言があった』『兄上に美濃を任せておく訳にはまいらぬ。志を同じうする国衆と謀り兄上に退いて頂く道を探るべしと』。1582年某月『...様が密かに使いをよこされ、深く案じておる故、明智と相談し日の本の進むべき道を間違えぬよう思案致せとの伝言があった』『信長に日の本を任せておく訳にはまいらぬ。志を同じうする国衆と謀り信長に退いて頂く道を探るべしと』。麒麟の到来を望んだ十兵衛が本能寺で行動を起こす。......28年前に帰蝶から謀り事の密談を持ち掛けられたように」(テレビウォッチ編集部)