信長に美濃を統一させるため道三は高政に家督を譲った?
「『古きを脱し、新しき世を作るのは新しき血じゃ』。予告編の冒頭の宣言が道三の真意。己の意に反する高政に家督を譲ったのもその為。大きな国を作る。美濃と尾張を一つにまとめる。マムシは娘婿に会い、ソレを決意した。ソレを成し得る者は高政でも孫四郎でもなく、義理の息子のほかにない。十兵衛の『何故高政に家督を譲ったのか』との問いかけの『そのような大事な話、ただでは話せぬわ』と答えたのは、まさに最重大事項だったからだ。自分の目の黒いうちに美濃の反勢力を炙り出し婿殿に討たせ大きな国を作らせる。実にマムシらしい」
「操られ三題噺の『麒麟がくる』。道三は深芳野の自爆的最期で高政に家督を譲る。帰蝶は、織田信光に(碁を)打て、打て(討ての隠語)で彦五郎を暗殺。マクベス夫人みたい。稲葉一鉄がイアーゴさながらに高政に異母弟誅殺をほのめかす。それでもって黒澤映画の『乱』のような怒涛の展開でマムシ撃沈の長良川合戦へ。十兵衛の存在感のない、右往左往ぶりだけが浮いている」
一方、帰蝶の堂に入った悪女ぶりにも称賛の声が――。
「帰蝶様とみたらし団子。楽しみにしていた。期待以上でした。素敵。帰蝶様を見ていると映画『白いドレスの女』(編集部注:キャスリーン・ターナー主演の悪女が美貌を武器に完全犯罪を成功させる)を思い出す。めちゃくちゃクレーバーなヒロインが微笑みながら言うの、『女は バカだから』って。その余裕、そのしたたかさ。最後に苦笑いするのは男」