1980年代、女性の心理描写や恋愛模様を描いて絶大な支持を得た漫画家、柴門ふみの多くの作品がテレビドラマになったが、「東京ラブストーリー」と「女ともだち」が再びドラマ化され話題になっている。
一流への道はまだ遠いシューズデザイナーのサチ(原沙知絵)は、キャリアップのチャンス到来で、不倫相手の平井(袴田吉彦)との関係を精算したいと思っている。サチと高校時代からの親友、ちさと(磯山さやか)はカメラマンの夫(竹財輝之助)の浮気に悩んでいる。この女性二人をめぐり、煮えきらない&泥沼な男女関係が繰り広げられる。
不倫や浮気は普遍のテーマなので、昭和だろうが、令和だろうが、やること、起こることは同じなのだが、それにしても時代の空気が全く反映されておらず、まるで再放送を見ているかのような既視感だった。
サチは妊娠、ちさとの夫は浮気...エンディングまで話が持つかな
俳優が悪いのではない。登場人物たちは視聴者と等身大のようでいて、シチュエーションがバブル期のドラマそのもの。サチはただのOLじゃなくシューズデザイナー、ちさとも専業主婦しているがロシア語の翻訳ができる。いちいち現実離れしたキャラクター設定は、まさしく80年代トレンディドラマの常套手段である。いつでもドラマはそういう要素はあるが、どうにも古臭い。
それを決定づけるのがセリフ。かなり臭い。今はもっと相手を思いやり、デリケートなやりとりをしているのに、空気を読まない、言いっぱなしな感じがアウトなのだ。須賀健太演じる唯一の若者が、フラットな視点で戒めるようなこと言うのだが、これも実体験が伴っていないように感じられ、中二病的発言にとどまっている。
サチは妊娠しちゃったみたいだし、ちさとの夫は浮気認めちゃったし、これから本格的に泥沼化していくのだろうが、果たして納得のエンディングを迎えられるのか、ちょっと心配だ。(4月19日深夜0時00分放送)
かたくりこ