小学校の同級生、村野鉄男(中村蒼)が「国際作曲コンクール」への応募を提案しても、古山裕一(窪田正孝)まったく乗ってこない。今はダンスホールの美しい踊り子・志津になっていた幼なじみのとみよに恋し、手ひどく振られたことが、1年もたつのにまだ尾を引いているらしい。
ある日、裕一が下宿にいると、勤め先の川俣銀行からハーモニカの音色が聞こえてきた。行ってみると、銀行員の松坂寛太(望月歩)が吹いていた。「古山君を元気づけたくて。君と音楽の間に何があったのが分かんねえげど、好きなんだろ、音楽」
実は、鉄男が川俣銀行の行員たちにコンクールのことを伝え、裕一の背中を押しててほしいと頼んだのだ。そこへ、職場仲間の鈴木廉平(松尾諭)もやってきた。「国際コンクール、応募してみだら?」とやっぱり言う。
同じく銀行仲間の菊池昌子(堀内敬子)も、「うじうじしていたら、あの志津っていういけ好かねえ女の思うツボだ」なんていう。仕事は自分たちまかせて、コンクールに挑戦しろとまでみんなに言われて、ようやく裕一は笑顔になりうなずくのだった。
豊橋では関内音が姉の見合いに同席していた
裕一はコンクールに向けて交響曲の作曲に取り掛かった。ところが、メロディーがまったく浮かんでこない。昼間は仕事、夜は曲作りに励む日々だが、音楽から離れていた2年のブランクは予想していたよりも大きい。「なんでだ。全然降ってこない」
そのころ豊橋では、のちに裕一と所帯を持つ関内音(二階堂ふみ)が、姉の吟(松井玲奈)から頼まれて、見合いに同席していた。相手は野島夏彦。実は、吟の目あては夏彦の兄の春彦で、夏彦は当て馬だった。接近したいために行われた見合いだった。(NHK総合あさ8時)