美食家で超自己チューのイケメン探偵が、キッチンカーの女性シェフと、美貌の連続殺人鬼「マグダラのマリア(小池栄子)」と〝食〟を通じて対決するという奇想天外なドラマだ。原作は集英社「ココハナ」に連載中の東村アキコのコミックで、東村は子供のころから江戸川乱歩の小説が好きだったというだけあって、そこかしこに乱歩テイストが散りばめられていて、なかなかに楽しめる。
明智五郎(中村倫也)は東京・原宿に小さな個人事務所を構える探偵で、食べることにうるさく、仕事よりも1日3度の食事を優先させる。昼食は事務所前にとまっているキッチンカー「いちご・デリ」の持ち帰り弁当と決めていて、シェフの小林苺(小芝風花)の舌と料理の腕を「悪くない」(明智の最高の誉め言葉)と気に入っているのだ。
ホテルの部屋にカップルの死体!フレンチトーストに毒を盛られたとにらんだが...
帝都ホテルの一室で若いカップルの毒殺死体が見つかった。明智は事件を解くカギはルームサービスで取った朝食のフレンチトーストにあるとにらみ、苺(小芝風花)をホテルの厨房に潜入させる。しかし、報告は「あれほど人がいたら、厨房で毒を盛るのは不可能です」というものだった。
警視庁捜査一課の警部・上遠野透(北村有起哉)らの捜査で、被害男性に二股をかけられていた青森のリンゴ農園の娘・古川茜(志田未来)が浮上する。被害者の胃からリンゴが検出されたからだ。
明智と苺が青森に茜を訪ねると、「都会でのんきにリンゴを食べている人に、この土地でリンゴを作っている人間の気持ちなんか分かるわけねえ」と動機らしきものを口走るが、「私は殺してねえ」と否認した。明智は事件は「マグダラのマリア」が仕掛けたものと考えた。茜の殺してやりたいという気持ちを勝手に読んで、『代行』したのかもしれない。
小芝はいつも殺人事件に巻き込まれる弁当屋のシェフを軽妙に演じていて、コメディエンヌとして魅力いっぱいだ。美食家という役柄の割に、中村は何を食べても飲んでも少しもおいしそうに見えないのが辛い。(よる10時30分放送)
寒山