新型コロナウイルスによる死者約1万人に上っているアメリカ・ニューヨーク市で病院勤務している日本人医師(49)は、「スッキリ」に恐怖の体験をこう語った。取材した。直接、新型コロナウイルスの患者を診察したことはなかったが、院内感染の可能性は否定できないという。
先月17日(2020年3月)に頭痛、倦怠感を覚え、19日以降は38度を超える発熱が続き、「どんどん熱が下がらなくて非常にしんどくて、とにかく横になっているしかない。家族が作ってくれたスープを飲んだが、具の味も匂いもわからなくなりました」と語る。
病院で検査をしたところ、22日に感染がわかり、自宅療養となった。「非常に辛かったですね。熱が頭の先から足に向かって物凄く、熱が走る。これはただごとではない」と25日に入院した。「アメリカはなかなか入院させてくれないので、『入院しろ』といわれるのは相当なことだなと、正直いって頭が真っ白になりました」
人工呼吸器をつけるまでには悪化せず、入院翌日は平熱近くになり退院した。しかし、咳がどんどんひどくなり、退院3日間くらいはほとんど眠れなかった。咳がようやく収まったのは、退院から1週間以上たってからだったという。
「感染は恐怖。経済度外視してみんな家に閉じこもれ」
いま訴えたいのは、「僕は軽症者なんです。人工呼吸器もしていない。しかし、一時は死が頭によぎりました。これが軽症という言葉が正しいかどうか気になるのです」「日本では感染者の8割は軽症といわれていますが、あまりよくないと思います。非常に軽い風邪のように思わせてしまいますが、ひとたび感染すると、その人の免疫力で治るのを待つしかないというのが、非常に心細い。恐怖です」
日本の現状について、「いまのアメリカは戦時中みたいな雰囲気です。日本の状況をみていると、緊急事態宣言が出ている割には、これが非常時なのかなとみられるところもあります。経済も度外視して、みんな家に閉じこもらないと、大変なことになります。すでになってきているかもしれません」