昭和3年(1928年)3月、古山裕一(窪田正孝)は商業学校を卒業した。そして、古山の家を去り、母・まさ(菊池桃子)の実家である権藤家の養子となることになっている。これからは伯父・茂兵衛(風間杜夫)の経営する川俣銀行に住み込みで働くことになる。
裕一が荷物を解き始めると、捨てきれなかった音楽の本と母からの手紙がでてきた。「つらい時に支えてくれるのは音楽だと思うから」とつぶやく。
川俣銀行支店長の落合吾郎(相島一之)、行員の鈴木廉平(松尾諭)、事務員の菊池昌子(堀内敬子)、新人の松坂寛太(望月歩)らは、裕一を歓迎した。養子の件は、仕事を覚えて一人前と認められたら正式に手続きをとることになっていた。
一番人気の志津が他の男たちをしり目に・・・
福島有数の資産家である権藤家の跡継ぎで、将来は銀行頭取になるかもしれない裕一は町の噂だった。銀行の仕事は忙しくなく、勤務時間中の雑談が多い。裕一が女性とふれあう機会が少ないと話したことから、その日の終業後、ダンスホールに出かけることになった。
ダンスホールには若い男女が大勢いた。男性たちはチケットを購入し、目当ての踊り子と踊ってもらう。鈴木はよく来るようで、「あれが、こご一番人気の踊り子だ。かわいいげど、あれは手ごわい」などという。志津(堀田真由)という踊り子だった。美しい志津は大勢の男性に囲まれている。
裕一が一人の踊り子にチケットを渡そうとすると、ふいに志津が横から裕一のチケットを取った。志津の方から誘ってきたのだ(NHKあさ8時)