「これでは本能寺の変の陰に帰蝶あり!にならないか」
「帰蝶の企てで、三百挺の鉄砲軍団を従えて、大うつけの恰好で斎藤道三に会いにいく織田信長の姿は、かなり圧巻でしたよね。史実と創作を上手く織り交ぜながら、非常にスペクタクルなお話になっている。帰蝶の役は、川口春奈ちゃんで大正解ですね。もう彼女は、その役に成り切っていますよ」
「父の思い通りにはさせない。信秀から『信長を頼む』と言われて、自分の生きる場所を見つけた帰蝶は、深芳野のように哀しくも道三にすがりつくこともなく、兄の高政のように道三に執着することもなく、父への思いを断ち切り、信長の可能性に未来を託したのだと思う」
「義父君からの真実の言葉に、鼓舞の虚言を織り混ぜて、夫を奈落の底から救い出した帰蝶の華麗なる機転。信長の背中を見届けた瞬間、見透かされたかもしれぬ!との恐怖からか、忽ち笑みが消え失せ、凍りつく帰蝶の緊張感に満ちたあの表情...。自らの処遇に激昂して悲嘆に暮れる信長を言葉巧みに宥めるシーンからの、一連の川口帰蝶の表情の変遷が余りに見事で、いつも以上に引き込まれてしまいました」
一方で、帰蝶の凄みばかり目立って、信長がマザコン過ぎでは、との声も多かった。
「帰蝶様、やりすぎでは。道三との会見は、信長の知略が冴え渡るエピソードなのに、実は嫁さんの入れ知恵だという描き方はどうなのか。信長もここ最近はメソメソ泣いたり、嫁さんの言いなりになったりと冴えがない。竹千代と将棋をしていた話あたりが一番良かったかも」
「聖徳寺の会見は信長公記にも記される史実性も高い有名なエピソードで、道三をあっと言わせた信長の才能を示すものでもある。本作のヒロイン的位置づけの帰蝶の手柄を差し込みたいのも分かるが、全部帰蝶がコーディネートしたような造りにしてしまったのは残念」
「今までにない信長像を打ち出そう、という番組制作陣の心意気はわかるが、信長マザコンに白ける。あんな中二病の信長があろうはずがなかろう。金八先生の世界観だよ」
最後にこんな心配の声も。
「信長がやったことは全部帰蝶のはかりごと?アホか。この調子なら、本能寺の直前、光秀は帰蝶に会って謀反の宣言をするのだろう。そして帰蝶は、『麒麟を呼ぶためにそうしなさい』と言いそう。アホらしい」(テレビウォッチ編集部)