イタリアで医療崩壊を起こすなどヨーロッパでも猛威を振るう新型コロナウイルスだが、その中でドイツは致死率1.6%とある程度の抑え込みに成功している。病院が患者でごった返す他のヨーロッパ諸国と違い、ドイツは病院自体が閑散としている。状況が逼迫するフランスやイタリアからの重症患者の受け入れも行っている。ドイツはどのように医療崩壊を防いでいるのか。
ドイツではホームドクターと呼ばれる、かかりつけ医の制度が浸透している。普段から患者のデータをすべて把握し、コロナのチェック、自宅待機の指示や行動のアドバイスもすべて電話で行う。状況が変われば保健所に連絡してPCR検査の手はずを整え、病院のパンクや他の患者との接触を防いでいる。
マスク、食料品が品薄になると教会の塀に寄付袋が下げられる
ドイツのホームドクター、ウォルフガング・ピルツ氏は「97%の問い合わせは電話で解決できます」と語る。ICUも充実していて、人口10万人あたり30台と日本の6倍だ。さらに、緊急性のない患者の手術を延期、退院させることで早いうちからコロナファーストの体制を整えた。
国民性も真面目だ。3月22日(2020年)に外出制限措置が出された後、街中は静まり返り、レジを待つ人が2メートル間隔で並ぶなどきちんと距離を保っている。トイレットペーパー、マスク、食料品などは品薄になったが、教会のフェンスには寄付の物資入った袋が下げられ、助け合いながら生活が行われている。
ドイツのPCR検査数は150万件と日本の20倍以上だ。無症状だが陽性の若者を多く発見し早期に隔離、高齢者への感染を防いだ。医療崩壊を起こさずに検査数を増やすことができたのも、真面目な国民性によるとみられている。
小林寅喆(いんてつ)教授(東邦大学)「ドイツで致死率が低いのは医療体制の違い。ホームドクターの役割がかなり強い。自粛となるとたちまち浸透する真面目な国民性もある。検査を受けられる状況ができており、日本は違う」
司会の国山ハセン「ドイツでは電話でホームドクターに相談し、検査が可能な病院を紹介するが、日本では患者が自由に医療機関を選択する」
キャスターの立川志らく「気分次第で病院を選ぶことで感染が広がってしまう。いきなり病院に行くのではなく保健所に相談することが必要」
安部敏樹(社会起業家)「今回の件で学ぶべきところはオンライン診療だと思う」
伊沢拓司(WEBメディア運営会社代表)「今いきなり導入しようとしても社会的な信頼がない。PCR検査を大量に導入しても医療崩壊しなかったのはこういう医療基盤を持っていたから。このショックを抜けてから日本がやるべきことはこういう基盤に学ぶこと」
文・みっちゃん