大正12年。のちに裕一の運命の人になる関内音(清水香帆)はまだ11歳、小学6年生だった。父・安隆(光石研)は元陸軍の獣医で、今は馬具を卸す仕事をしていて、母・光子(薬師丸ひろ子)と、姉の吟(本間叶愛)、妹の梅(新津ちせ)の5人暮らしだ。愛知県の豊橋ですくすくと自由に育っていた。
音の学校では学芸会の準備が始まっていた。しかし、音は教師が決めた演目に納得がいかない。女子のクラスなのに「浦島太郎」だったからだ。音が多数決を提案して、演目は「竹取物語」に変わる。音は自分が「かぐや姫」役になれると思っていた。
音「お父さん、お母さん、学芸会を見にくるでしょう?」
安隆「ああ、絶対行く」
妹の梅は竹取物語の本をくれるという。「主役やるなら、ちゃんと読んでおいた方がいいよ」
賢明な父は諭した「おじいさん役も大切だ」
しかし、音に割り当てられた役はおじいさんだった。ショックを受けた音は、父に愚痴をこぼす。「おじいちゃん役は嫌か。音がかぐや姫じゃったら、おじいさん役は他の誰かがやるよな。その人が嫌々してたらどう思う?」と父は諭す。音は「しっかりしてって思う」
安隆は「じゃろう。みんなが主役をやれるわけじゃない。主役だけではお芝居にならん。それを支える人が必ずいるんだ。今回は残念だった。でも、お父ちゃんは楽しみだよ」と力づけた。(NHK総合あさ8時)