度し難いというのは、安倍昭恵のような人をいうのだ。NEWSポストセブン(2020年3月26日16:30)は、3月下旬、彼女主催で花見の会を都内で開いていたと報じた。自らが深く関与したといわれている森友学園問題で、文書を改ざんしたことを苦に自殺した近畿財務局職員の手記が報じられ、亭主が新型コロナウイルス対策で国民に自粛を求めている時期に、十数人の仲間を募って花見をやる神経がわからない。
国会でこの件を質問された安倍首相は、「公園での花見ではなく、レストランの敷地内の桜で写真を撮影した」と間の抜けた答弁をした。この亭主は、自分のカミさんさえ「自粛」させられないのだ。
けさ(3月27日)のフジテレビ系朝のワイドショー「とくダネ!」に、小池都知事が出ずっぱりだった。東京五輪がダメになったので、コロナで挽回しようというのだろうが、「私のいうことを聞かないと、次は東京を封鎖するわよ」といわんばかりの強硬姿勢に、危ういものを感じるのは、私だけではないはずだ。
週刊現代が、コロナウイルス感染者が7万5000人超、死者が7500人超(3月27日現在)になったイタリアの惨状を伝えている。彼の国では、私のような高齢者が感染したら「死んでもらうしかない」というのである。ベッド数やあらゆる医療器具が不足しているからだが、一番深刻なのは、新型肺炎の治療に不可欠な人工呼吸器が全く足りていないということだ。イタリアの高齢化率は約23%で、死者の約9割が70歳以上だそうである。
こうした状況では、「患者を選別せざるを得ない」というのだ。ベルガモでは、70歳以上の集中治療室の受け入れを全て断っている。そこの医師は「人工呼吸器の数が足りない以上、若く、助かる見込みの高い患者を優先する」と語っている。
ミラノで生活するヴィズマーラ恵子は「地元の新聞では、一部の病院で、『70歳以上の患者さんに対しては、大量のモルヒネを投与して安らかに逝っていただく』措置を取っているという内容が報じられています」。新手の「姥捨て山」が、コロナの名のもとに堂々と行われているということである。
イタリアでは、集団感染のリスクから葬式も禁止されていて、病院の空きスペースには埋葬されないままの棺が積み上がっているそうだ。患者が亡くなっても、遺族は立ち会えない。遺言もiPadにビデオメッセージを遺すしか方法がないという。アメリカはわかるが、なぜイタリアやスペインで感染者も死亡者も多いのか。今後、徹底的に解明されなくてはならない。
感染見くびってパンデミック招いたトランプの無能――大統領選でもバイデンが逆転か
週刊文春の「文春図書館」で、フランス文学者の鹿島茂が「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 人類とウイルスの第一次世界戦争」(速水融・藤原書店)を取り上げている。1918年から世界中に感染者が広がり、世界人口20億人(現在は約77億人)の時代に、2000万~4500万人の死者を出した最悪のパンデミックなのに、日本語の研究書がなかったため、速水が調べ、2006年に刊行された。
時は第一次世界大戦の最中で、アメリカ軍の戦没者は約10万人だが、そのうちの8割がインフルエンザによる病死だったそうだ。日本では、速水の計算方法によると(速水は日本歴史人口学の開祖)、前流行と後流行を合計すると、死亡者は45万人超になるそうである。鹿島は、この本こそ緊急復刊させるべきだといっているが、その通りである。
アメリカもあっという間に感染者、死亡者が激増しているが、トランプの楽観的な対応の遅れに非難が集まっている。ニューズウイーク日本版で、ジョージタウン大のサム・ポトリッキオ教授が、トランプがパンデミックに真正面から立ち向かっていれば、大きく株を上げられたのに、「彼は危機の深刻さを見くびり、国を苦境に追い込んだ」
韓国とアメリカは同じ時期にコロナの感染者を確認していたのに、アメリカが危機への備えが遅れたのは、「韓国に先見の明があったというより、アメリカに能力が欠けている」ためで、「アメリカが目の当たりにしているのは、大統領の器の小ささだ」といっている。日本と同じだ。
株が急落し、失業率も大幅にアップした今となっては、トランプとは真逆の「自分より他人の事情を考えられる」民主党のバイデン元副大統領を、有権者は選ぶだろうと見ている。はて、日本に安倍と真逆の政治家がいるだろうか。