テレビ東京の人気シリーズ「孤独のグルメ」の居酒屋版ともいうべきシリーズで、実在する「コの字酒場」を舞台に、ちょっとほろ苦い恋の物語が進行する。コの字型カウンターがある酒場に惚れ込んで、各地のコの字酒場に30年近く通い続ける原作者の加藤ジャンプによれば、上座も下座もないコの字酒場は究極の自由の空間とか。
広告代理店「シューエイプロジェクト」社員・吉岡としのり(浅香航大)は、大学時代の憧れの先輩だったフードコーディネーター田中恵子(中村ゆり)に連れられてコの字酒場を巡るうち、いつしか恋心を抱くようになった。だが、恵子は恋人でイタリア在住のカメラマン透(竹財輝之助)から「一緒にイタリアで暮らそう」と誘われていた。
どんな仕事でも一途にやることの大切さをコの字酒場で学んだ
それでも恵子に告白しようと決意した吉岡だったが、恵子のマンションの前で恵子と透が抱き合う姿を目撃してしまう。吉岡は居ても立ってもいられず、後輩の山田大河(小園凌央)の代わりに住宅展示場で着ぐるみを着て風船を配る仕事を引き受ける。懸命に働くうちに、吉岡は、どんな仕事でも一途にやることの大切さを教えてくれたコの字酒場の大将や女将さんたちを思い出した。
そこで、恵子がイタリアに行く前に、コの字酒場へと導いてくれたことへのお礼と自分の本当の気持ちを伝えようと改めて決意した吉岡は「いいコの字見つけたんで、行きませんか?」と恵子を誘う。「コの字酒場学校の卒業試験ね」と恵子は気持ちよく応じてくれた。
吉岡が恵子を案内したのは、錦糸町のコの字酒場「井のなか」だ。そこで日本酒の熟成酒を酌み交わしながら、吉岡は恵子に「先輩は素敵で、格好いいなって思いました」「イタリアに行っても頑張ってください」と告げる。それを聞いた恵子はなぜか顔を曇らせ、涙ぐむ。
劇中に本物の大将や女将さんたちも登場し、自らの歴史や店への思いを語ってくれる。また、酒の蘊蓄(うんちく)や店の名物料理の作り方も丁寧に描かれていて、酒飲みなら思わず「よし、今夜はコの字で」と思ってしまうことだろう。是非とも続編を期待したいところだ。テレビ東京の公式サイトで、登場したすべてのコの字酒場が写真付きで詳しく紹介しているので、参考にどうぞ。(深夜0時放送)
寒山