東京・品川区にあるタワーマンションの自宅で、桂川コーポレーション社長・桂川宗佐(村上新悟)が背中を刺されて殺害された。なぜかスマホの音声認識アプリが立ち上げられており、『99』という数字が残されていた。
以前は武器開発会社「東亜ダイナミクス」社長だった桂川は、防衛関連団体「防衛技術振興協会」副会長を務めていた。政府と密接な関係があったとされるが、定例記者会見で質問を受けた内閣官房長官・鶴田翁助(相島一之)は「官邸として個別の案件に関心はない」と突っぱねる。
捜査一課の捜査会議に潜り込んで事件に興味を持った警視庁特命係警部・杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、現場となった桂川のマンションを訪れる、すると、そこには警視庁サイバーセキュリティー対策本部の特別捜査官・青木年男(浅利陽介)がいた。上層部から『特命係一派』とみなされ、捜査から外されたことに反発して、協力を思い立ったらしい。
殺された社長と官房長官直属の女性部下とのベッド動画
青木は杉下らに、殺害現場にあったパソコンに桂川と女性のベッド動画が収められており、この女性は顔認証から、内閣官房内閣情報調査室の柾庸子(遠山景織子)と判明したことを伝える。鶴田官房長官の直属の部下ということで、警察も迂闊に手を出せないでいるという。
右京は、青木からの情報や現場の状況から、問題の映像にある違和感を抱く。 一方、捜査一課刑事・伊丹憲一(川原和久)たちは、桂川の資金協力を受けて最新の映像技術を研究している城和工科大学特任准教授・鬼石美奈代(坂井真紀)に事情聴取したが、鬼石はのらりくらりとはぐらかすばかりだ。
そんな中、「週刊フォトス」デジタル版にスクープ映像が掲載された。事件の数日前の深夜、桂川と柾が一緒にクラブを訪れ、柾が桂川に往復ビンタを食らわせている映像だ。それは、柾が桂川を殺害した『動かぬ証拠』と思われた。
だが、これらの映像に違和感を抱いていた杉下は「ディープフェイク=AI合成画像」と呼ばれる最新技術でデッチ上げられた映像ではないかと気づく。また、鑑識の結果、スマホの音声認識アプリに残されていた『99』の数字が、桂川のラストメッセージだったことが判明した。さらに、事件の裏側で、ある政府組織が動いていることも分かった。
だが、AIに関して警視庁でも有数の知識と技術を持つ青木をもってしても、その映像がディープフェイクであると証明することはできなかった。杉下の捜査も行き詰まったかに見えたが......。
捜査とは別のところで、政財界の錚錚たる人物たちから贔屓にされている人気芸者・小手毬こと小出茉梨(森口瑤子)が、鶴田官房長官にある働きかけをしていたのだった。そして、杉下はついに日本の国家的陰謀の闇に切り込んでいく。(よる8時放送)
寒山