「ファンの結束の強さから観劇を隠ぺいするのが心配です」
そしてこんな心配をする人も多かった。
「このお客さんたち、もしもコロナに発症したとしても、歌劇を見たことを隠蔽しないか不安です。ディープなファンの心理として贔屓(ひいき)に迷惑かかるからと、検査を呼びかけられても行かない人も出ると思います」
「そうですよ。宝塚は鉄壁の絆で結ばれていますから、演者と共通の秘密を持って酔っているのかも......」
一方、少数派だが、公演決行に賛同する意見もあった。
「自粛は『要請』であって『命令』じゃないのです。一民間の自主的な判断、責任に任されるべきです」
「この状況で開催を目指したのは本当に悩んだ末の判断だと思う。賛否はなんとも言えないが、危険性をゼロにすることはどこも無理なのはわかる。主催者ができることは最大限やったのでしょう。次は、お客さん各々が、観劇後の自分の立ち位置から影響を想像して判断するしかないのでしょう」
「引退や襲名とか色々あって、リスクを承知のうえで決行したのだろう。もし感染が起こったら、何人もの幹部が職を辞する覚悟も決めた上で、訪れる観客も感染のリスクを承知の上でのはずだ」
「あちらこちらで株主総会が開催されていますが、そちらでは感染者の情報が出てきていません。それと同様な対策を取れば大丈夫なのでは」
公演には生活がかかっているという意見もあった。
「やっている方は仕事なんだよ。そこには演じ手だけではなく、チケットもぎったり案内をやったり舞台操作したり舞台や客席を清掃したりなど、たくさんの人が仕事をやっている。イベントの自粛を叫んでいる人って、自分がやっている仕事が不要不急だから自粛しろ!と言われて、『はいわかりました』と通勤を止める覚悟があるんだろうね」